自治体の脱炭素化を経済価値に変換、日本ガイシなど3社が実証
日本ガイシ、リコー、IHIと岐阜県恵那市は再生可能エネルギーの発電・売電で恵那市が得た環境価値を経済価値に変換してカーボンオフセット(炭素相殺)商品として販売する実証を10月に始める。日本ガイシと恵那市が出資する恵那電力(岐阜県恵那市)の再生エネ発電・売電や蓄電池活用と、リコーの電力流通のトラッキング(追跡)、IHIの環境価値管理を組み合わせる。自治体の脱炭素化の取り組みを経済価値に変換する仕組みは珍しい。
恵那電力は恵那市内の公共施設の屋根上の太陽光パネルで発電し、公共施設の自家消費用に売電している。日本ガイシの蓄電池も活用中。発電、消費、余剰発電の蓄電池への充放電など一連の流れをリコーのシステムに記録する。リコーがグループで運用中のシステムを用いる。
IHIは二酸化炭素(CO2)排出・削減量を算出して環境価値に変換するプラットフォーム(基盤)を持つ。CO2の排出削減量や吸収量をクレジットとして国が認定する制度「J―クレジット」に変換し、カーボンオフセット商品化し、恵那市が販売する。実証期間は2024年3月末まで。
4者は同日会見し、恵那電力社長を兼務する日本ガイシの村本正義エナジーストレージ事業部管理部長は「J―クレジットで地域活性化する珍しいケース」と意義を強調した。恵那市の柘植克久水道環境部長は「市外のお金を市内に循環して脱炭素に向けた設備投資に生かしたい」と展望を示した。
日刊工業新聞2022年9月21日