金属曲げ加工、緻密な生産管理を支えるロボットの実力値

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周囲の安全を確認して仕上げに人が協働作業する場面も

ナサ工業(福岡県須恵町、長沢貢多社長)は金属加工を主力とする。手がける製品は、エスカレーターやエレベーター関連、鉄道関連、配電盤・システム制御関連、医療機器向け精密板金部品など幅広い。月間の製造部品点数は約1万2000点に及ぶ。設計から、材料加工、塗装仕上げまでワンストップで対応する生産管理が強み。顧客ごとの課題にきめ細かく対応するため、カスタマイズ製品にも力を入れる。緻密な生産管理を支えているのがロボットの存在だ。(西部・勝谷聡)

ナサ工業の得意分野の一つ微細曲げ加工。ロボットの導入によって安全性と精度の向上を両立した。工場では、レーザー切断機やプレス機、ベンディングマシン、各種溶接機など90台以上の設備が稼働する。2016年に採用したのがアマダ製の自動曲げロボット「EG6013AR」だ。加工プログラムによって金型交換から加工まで完全自動化を実現し、微細な曲げ加工を高精度かつ高速に実行できるようになった。

長沢敏光専務は導入のきっかけについて「医療系免疫分析装置向け部品の受注をいただいたこと」と振り返る。同部品は手のひらに乗る大きさで7回以上の曲げが必要な複雑形状。生産量は毎月180ロットで20種以上に対応することを想定したが、同ロボットは加工を繰り返しても「精度が変わらない」(長沢専務)と目を見張る。

プログラムは曲げ加工に詳しい担当者が行うが、運転や操作はプログラムや曲げ加工に詳しくなくてもスイッチを押すだけで作業が可能。安全性を担保しつつ、高精度な加工を実現した。長沢専務は1番の導入効果を「従業員の安心安全につながったこと」と強調する。

ロボットと作業者が連携する新しい働き方も取り入れた。曲げを加える精密部品の医療機器向けで、誤差が0・1ミリ―0・01ミリメートルといった高精度が求められるケースを対象とする。「当初は、ロボットだけの曲げ加工にこだわろうとしたが、どうしても人がやった方が得意な場面がある。最終的にお客さまに喜んでもらうためには現時点で最良の方法」(長沢専務)と話す。

経営面にロボットの導入効果が表れてくるのは少し先になりそうだ。従業員の労働時間は、いまだにロボットの稼働時間を上回る。プログラミングは、曲げ加工の手順に詳しい曲げ専門の技術者に頼らざるを得ない。

ロボットに動きを教え込むティーチングも今後の課題とみる。そこでロボットへの教示作業が比較的容易な「ダイレクトティーチング」の導入を検討。同手法はロボットの腕を持って直感的に動きを教えられるため、教示者の熟練度に影響されにくい。長沢専務は「ロボットそのものが好きな技術者が社内にもっと増えれば、ロボット活用効果も加速する」(同)と期待をかける。

6月には約1億円を投じ、3次元レーザー加工が可能な独トルンプ製のロボット設備を導入。同ロボットを活用し、建物用外壁部材を製造する新規事業を立ち上げた。

日刊工業新聞2022年8月2日

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