英国で動き出す「日立・原発」。プラントメーカー再編は加速するか

日本政府がインフラ輸出後押し

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ホライズン・ニュークリア・パワーのホームページより
 日立製作所は19日、英国での原発建設に向け、全額出資子会社の日立ニュークリア・エナジー・ヨーロッパ(HNE)と日揮、米建設大手ベクテルグループの3社で企業連合を組む方向で最終調整に入ったと発表した。19年の着工を目指し、3社で原発の設計、部材調達、建設の準備を進める。日立は傘下の英原発事業会社ホライズン・ニュークリア・パワーを通じ、英国に原発4―6基を建設する計画。このうち2基は西部ウィルヴァ・ニューウィッドに建設する予定。

「発電所をつくる場が欲しかった」


日刊工業新聞2012年10月31日


 英ホライズン・ニュークリア・パワーの買収を決めた2012年10月。日立製作所は会見を開き、その狙いを説明している。当時の担当役員だった羽生正治執行役常務は、「プラントメーカーとして発電所をつくる場が欲しかった」と述べ、政府系金融機関など広く出資を募り、出資比率を50%以下に引き下げたい考えを示している。

 ―どう事業のスキームを描きますか。
 「ホライズンは原発の運営会社であり、人材などを拡充して事業会社として育てる。日立は投資家であり、電力会社からEPC(設計・調達・建設)業務を受ける」

 ―原発会社を運営する事業面でのリスクは。
 「原子力発電事業をやるわけではなく、発電所をつくる場が欲しかった。炉型を改良型沸騰水型軽水炉(ABWR)にしてもらえれば買収する意思を伝えていた。一定の投資回収を求めるが大きな期待をもたない」

 ―リトアニアなど他国の交渉の進捗状況は。
 「リトアニアが原子力新設計画を継続するならば当社は付いていく。英国と時期が重なっても日本で複数プラントを並行して手がけた例ある。能力的、実績的に心配していない」

 ―投資回収の時期は。
 「18年で償却を考えている。建設が了承されるまでの5年間は人件費など発生するが膨大な金額にはならない。建設が始まればそれなりの金額になり、一社で賄うの大変だ。投資家を募るため魅力ある会社に育てられるかが一番の肝だ」

東芝との「ABWR」連合は実現するか


ニュースイッチ2016年01月08日


 東芝、シャープを震源地とした電機業界の再編が大きく動きそうとしている。液晶や白物家電でさまざまな組み合わせが模索される中、再建に向けた資金を提供する官民ファンドの産業革新機構。そして絵を描く経済産業省。経産省はこれを機に、長年、日本の電機産業が抱えてきたプレーヤーの過剰問題を一気に解決しようと考えている。そしてその最後の本丸は原発だろう。

 東日本大震災が起こる以前、世界中で「原発ルネッサンス」が叫ばれ、日本の原発機器メーカーの東芝や日立製作所、三菱重工業と政府は、原発をインフラ輸出の目玉にしていた。震災で状況が一変。特に原発事業を成長の大きな柱にしていた東芝は、今回の不正会計問題を助長させる要因になった。

 原発の炉型は大きく分けて二つ、沸騰水型軽水炉(BWR)と加圧水型軽水炉(PWR)。長年、日立と東芝はBWRを手がけ米ゼネラル・エレクトリック(GE)との関係が深く、三菱重工はPWRで米ウエスチングハウス(WH)と協力関係にあった。

東芝のWH買収でねじれ。三菱重工は感情的なしこり


 ねじれが起きたのは2006年の東芝によるWHの買収。WHに近い三菱重工も買収に名乗りを上げていたが、当時の社長だった西田厚聰氏の大号令の元、6000億円を超える金額を提示し強奪した。「B」と「P」の二つの炉型を手に入れ事業拡大路線に突っ走る東芝に対し、三菱重工の経営陣は感情的なしこりを持ち続けることになる。

 東芝のWH買収をきっかけに日立はGEと合弁を組み、三菱重工は仏アレバと関係を強めることになった。その後、日立と三菱重工は火力設備事業を統合。「次は原発」という報道もメディアであふれたが、そこは簡単ではない。炉型が違うため、それぞれが持つ技術シナジーを出しにくく、また海外のパートナーともなかなか縁も切りにくいのが実情だ。

 国内の新設受注が事実上不可になり、日立や東芝は海外に活路を見出す。日立は英国の原発事業会社「ホライズン・ニュークリア・パワー」を約900億円で買収。最大で4―6基の改良型沸騰水型軽水炉(ABWR)を建設する予定。2020年代前半の稼働を予定している。東芝も英国案件ではホライズンを本命にしていたが、日立に奪われたため代わりに原発事業会社「ニュージェン」に出資した。

英国と中国の接近でインフラ輸出構想は・・


 英国政府に食い込んでいると思われた日本勢だが、昨年、中国の習近平国家主席が訪英した際に、キャメロン政権との間で中国製原発を導入することで合意。世界を驚かせた。安全保障面などで懸念する声はあるものの、中国の原発輸出のスキームは中国広核集団(CGN)と仏電力公社(EDF)が共同で行うことになっている。

 原発事業においてオペレーター(電力会社)の役割は非常に大きい。本来なら日本は東京電力がその先頭に立ってやる予定だったが、原発事故により身動きがとれなくなった。経産省は「革新機構をブリッジに一時盛り上がったオペレーターも参画した“オールジャパン"のインフラ輸出の復活を目指しているはず」(大手電機メーカー幹部)。

 プラント機器メーカーの再編も一時ほど障害がなりなりつつある。まず海外勢はGEが原発事業から距離を置きつつあり、アレバは経営不振で三菱重工に対し子会社への出資を要請している。

<次のページは「両社が接近する機運高まる?」>

日刊工業新聞2016年1月20日 3面

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