コロナでROE落ち込み、太陽工機が固める成長への足場
太陽工機は、中長期的な目標として株主資本利益率(ROE)15%以上を掲げる。長く2ケタ台を保ってきたが、新型コロナウイルス感染症の影響で2020年12月期は一時5・4%まで落ち込んだ。直近は受注増で回復途上にあるが、生産設備や人材に積極投資し持続可能な成長の足場を固めている。
同社は89年に業界初の立形研削盤を開発した研削盤専業メーカーで、国内向けオーダーメード製品が中心。01年にDMG森精機グループ入りし、海外向けの販売やサービスで連携している。
19年12月期には売上高108億円、営業利益17億円で過去最高を達成した。だが、渡辺剛社長は「いろいろと限界が見えた」という。そこで本社工場の約5倍の土地を3月に8億円で取得、新工場建設計画をまとめている。今の本社工場の土地も5月に6億円で取得、資産として有効活用する。いずれも自己資金でまかなった。
営業利益率は20%が当面の目標だが、そのベースとなる売上高を30年までに200億円にするとしている。コロナ禍の前に比べ2倍、専業メーカーとしては世界トップクラスの規模だ。達成のため高利益が見込める海外展開を強化しており、中国や欧米で現地採用などを実施。海外向け販売を現状の3割から5割にする。また、個別仕様製品はコストがかかりやすいため、シリーズ化の開発も進める。
鋼材値上がりで新工場建設は25年3月までにするとしている一方、人への投資も進める。4月から社員の給与水準を基本給平均で4・6%引き上げた。初任給は大卒は従来比1万2000円増の22万2000円とし、大手と同水準にした。渡辺社長は「コロナ禍で頑張ってくれた従業員にも応えたいし、優秀な人材獲得のために欠かせない」と語る。社員数は現在の約250人から400―450人に増やす方向で検討中だ。
一連の投資で現金は減ったが固定資産は増えた。強靱(きょうじん)化した財務体質により、収益力をさらに向上する。