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東工大が実証、ペンギンの体表を模倣したフィルムの効果

東京工業大学の斎藤遼輔大学院生と田中博人准教授らは、ペンギンの体表を模倣したフィルムで流体摩擦抵抗を低減できることを実証した。羽毛が形成する表面形状を微小な凹凸の列として模倣する。模倣フィルムは平らなフィルムに比べて最大2%抵抗を低減できた。船舶や自動車などの燃費向上が期待できるという。

キングペンギンやフンボルトペンギンなどの全身標本から羽毛を採取して断面形状を計測した。観察結果を受けて、断面が台形の縞(しま)を等間隔に並べた微細構造を作製した。縞の間隔は100マイクロメートル(マイクロは100万分の1)、台形の高さは38マイクロメートルで、水流に対する縞の向きと変えて抵抗を計測する。

すると水流に対して縞を15度傾けると、流体摩擦抵抗が2%低減した。従来から薄板を並べた微細構造は10%ほど低減できることが知られている。これは水流と縞が平行な場合に低減効果が大きい。ペンギンの羽毛は旋回遊泳に合わせて進化した可能性がある。

日刊工業新聞2022年8月23日

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