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宇宙空間で活躍へ、東工大が開発した触れるだけで閉じるハンドの仕組み【動画あり】

宇宙空間で活躍へ、東工大が開発した触れるだけで閉じるハンドの仕組み【動画あり】

閉じた状態の低接触力把持ハンド(東工大提供)

東京工業大学の中西洋喜准教授と川口直毅大学院生らの研究グループは、触れるだけで閉じる低接触力把持ハンドを開発した。センサーやモーターを使わずに機構のみで閉じて爪で包み込む。宇宙ゴミの回収でトラス構造をつかむ目的で開発した。つかもうとした反力で相手を飛ばさない。飛行ロボット(ドローン)用のハンドとしても利用できる。

2本爪のハンドの手のひらに当たる部分が突っ張り棒のように働く閉リンク構造を採用した。突っ張り棒部分を把持する対象物に押し当てると突っ張りが外れ、バネの力で爪が閉じる。爪に触れる程度では閉じない。押し当てに必要な力はバネで調整できる。

ハンドの中に把持する対象物があることの検知と爪の開閉を機構だけで実現した。センサーで対象物を検出し、モーターで爪を閉じるといった制御が要らない。

ハンドの中に対象物が収まったらモーターで締め付け、相手を固定する。宇宙ゴミのトラスをつかみ、向きを変えて引き寄せるといった作業に使える。対象物を放してハンドを復帰する際にモーターを用いる。駆動力はモーター一つとバネ一つで済む。構成部品が少なく軽量化しやすい。

宇宙空間での把持は捕獲の対象物が浮遊しているため、つかみ損ねると飛んでいってしまう。やさしくつかむにはロボットハンド側で対象物の計測把持など高度な処理が必要になる。機構で把持が確実にできると信頼性が増す。ドローンもハンドを押し当てるだけでつかめると荷運びやケーブルのけん引などの仕事がしやすくなる。

日刊工業新聞2021年7月1日

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