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日鉄がドローン活用で製鉄所DX、得た成果と手応え

日鉄がドローン活用で製鉄所DX、得た成果と手応え

積まれた原料炭や鉄鉱石の状況をチェックするドローン

日本製鉄は製鉄所のデジタル変革(DX)で、飛行ロボット(ドローン)の活用を加速している。鹿島地区(茨城県鹿嶋市)では7月下旬から原料ヤードにあるベルトコンベヤーの点検に使い始めた。狭い点検箇所の撮像には今後、小型ドローンを活用する。点検の精度向上や時間短縮、コスト削減が狙い。広大で、足場を組む危険な高所も少なくない中で人の作業負荷をどこまで軽減できるか。他の製鉄所への早期の展開が注目される。(編集委員・山中久仁昭)

立ち上げから半世紀がたつ日鉄鹿島地区は、東京ドーム220個分の面積を持つ。その約3分の1は鉄鉱石や原料炭など原材料を置く場所が占めている。

「従来、1回に2時間要していた点検が、ドローンを飛ばすことで20分にと約8割削減できた」と声を弾ませるのは協力会社、鴻池運輸の担当者。原料ヤードのベルトコンベヤー周辺で導入した点検用ドローンの成果に、手応えを感じている。

鴻池運輸は鹿島にドローン操縦士7人、カメラマン5人を配置。コンベヤーのローラーなどに異常がないか、ドローンに搭載した一般のカメラ、赤外線カメラでチェックする。 ローラーは摩耗や劣化、障害物の挟み込みなどがあれば、発熱で検知できる。当該箇所に作業者が迅速に駆け付け、不具合を回避できるようドローンは“伝達役”を担う。今後、点検の頻度と網羅性の向上が課題となる。

日鉄鹿島地区は搬送設備にとどまらず、ドローンで野積みされた原料の点検精度を高めたいとしている。豪雨など自然災害も増え原料の正確な把握は資産管理面からも重要だ。

さらに検討が進むのが、リベラウェア(千葉市中央区)製の小型・高精度撮像ドローン「IBIS」による配管設備などの点検。IBISは縦・横が約20センチメートル。狭い場所でも安定飛行、画像の3次元化が可能とあって危険を伴う高所作業の削減などに寄与しそうだ。

狭いところの点検に最適な小型ドローン

「撮った画像を、よりイメージしやすく処理するのが強み」とリベラウェアの閔弘圭社長は語る。実際の検査でどうしても足場を組む必要がある際、現場の状況を正確に事前チェックできるという。

DXによる生産性向上が進む中、ドローンはあくまで手段の一つ。日鉄は製鉄所の設備データを一元管理する無線センサー活用プラットフォーム「NS―IoT」の鹿島地区などでの運用を始めた。ドローンなどからの各種データも集約され、一体的運用が図られる。2025年度の全国展開に向け、ドローンの効果的活用法も広がりそうだ。

日刊工業新聞 2022年8月4日

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