電通大が“DS・AI教育”6年一貫、「女子推薦枠」設定の狙い
電気通信大学は2023年度からデータサイエンス(DS)・人工知能(AI)でトップクラスの教育プログラムを始める計画だ。データ分析結果を踏まえた新サービスの実装や、AIの競技会「カグル」マスター取得など学部・大学院の6年一貫で手がける。10数社との産学連携に加え、世界的な実力を持つ実務家が指導に加わる。また1学年45人のうち、約5人の女子推薦枠を設定する。国立大学の女子枠は東日本で初めて。
電気通信大学は量子×AIの基礎を全1年生が学ぶなど、同分野の人材育成を強化している。今回は社会変革に向けたデザイン思考や、科学的な意思決定のシミュレーションなども折り込み、エキスパートレベルの実践教育に乗り出す。

DSでは企業課題の分析結果を生かしたソフトウエアの開発・実装まで手がける。AIの機械学習コンペティションのカグルに関わる講義や、米国電子電気技術者協会(IEEE)のDSカンファレンスへの参加を、3年生で経験する。
そのためパナソニック、富士通研究所、野村総合研究所、ディー・エヌ・エーなどと連携。指導者は学内教員4人に加え、カグル・グランド・マスターの称号保持者など外部実務家10人を、クロスアポイントメント制度で迎える。
DS・AIのトップ人材は産業社会のニーズが強いため、学部1年生からと並行して大学院修士課程の速習コースを走らせる。また同分野は多様な社会応用で文理融合の面を持ち、従来の理工系と比べて女子学生増が期待できる。同大が女子枠設定により、このキャリアパス浸透を図る点も注目を集めそうだ。
日刊工業新聞2022年7月14日
