包装用フィルム製造の丸東産業が重視する財務指標
原材料高で内部生産効率化推進
丸東産業は、生産能力の向上による内部生産の効率化を進めている。「包装の機能を高め続けることで人類の豊かな生活に貢献する」を使命として掲げる同社。食品や医薬品、化粧品、工業用品などさまざまな分野のパッケージを企画、製造、販売する。受注生産が中心で顧客の商品価値を高め、パートナー企業として「役立ち度」の向上を重視する。
高宮剛志執行役員総務副本部長は「当社の場合、投下資本利益率や流動比率など、貸借対照表(BS)上の指標は関連性が薄く取引の構造上計算が難しい」と説明。むしろ「損益決算書(PL)での本業の利益である営業利益と、その営業利益を効率良く生み出しているかを計る売上高営業利益率が重要な指標」と強調する。
売上総額の約3分の2を占めるのは、包装用ラミネートフィルム製品。残りは関連の仕入れ販売商品だ。ラミネート製品は受注生産で、一つ一つを異なる仕様で製造する。売り上げおよび利益は外部環境に左右されることが多い。
例えば、2012年2月期は前年の東日本大震災の影響による特需で増収増益。しかし翌13年2月期は反動減となった。20年2月期は、食品表示法改正に伴う食品表示改版依頼の受注が集中。顧客の希望納期に間に合わせるために発生した外部への製造委託費用が原価を押し上げた。
22年2月期の売り上げは前年同月期比で1・0%増。一方で売上営業利益率は1・5%減少した。21年から、原油由来のフィルムやアルミ箔(はく)など原材料価格の高騰が続く影響が大きいと説明する。
安定的に収益を高めるために「高付加価値の機能包材の開発や改良など内部生産の効率化を推進する」(高宮総務副本部長)と強調する。投資額約21億円の福岡第二工場(福岡県小郡市)は23年5月の完成を計画。生産能力を増強し、外部生産を内部に移す。高騰した材料価格の一部を製品価格に反映することは最後の手段にしたい考えだ。