半導体装置大手・東京エレクトロンが明かした研究開発投資1兆円超計画の中身
東京エレクトロンは、2027年3月期までの5カ年の中期経営計画を発表し、研究開発投資に総額1兆円以上を投じる方針を明らかにした。22年3月期までの5年間に比べて約7割増となる。27年3月期に連結売上高3兆円以上(22年3月期比約50%増)、営業利益率35%以上(同5・1ポイント増)を目指す。ROE(自己資本利益率)は中計期間中を通じ30%以上を目標とする。
8日会見した河合利樹社長兼最高経営責任者(CEO)はデジタル化の進展や半導体の性能向上などを背景に製造装置市場は成長が続くとした上で「付加価値の高い次世代装置を投入することで市場シェアを高め、業績目標の達成につなげたい」とした。
先行投資を通じ、半導体技術の進化に迅速に対応できる体制を強化する。同社は塗布現像装置で約9割、一部の成膜装置で約5割、エッチング装置で約3割の世界シェアをそれぞれ握る。
課題の部材不足に対しては、2年分を目標に部品の先行手配を行いつつ、工場間で在庫を融通するなど全体の在庫量は削減する。
現在約3週間―3カ月かかっている装置の立ち上げ工期については人工知能(AI)を装置に搭載し、自動でセットアップできるようにするなどで短縮する。株主還元は従来方針を据え置く。連結配当性向は50%をめどとし、1株当たりの年間配当金を150円を下回らないようにする。
日刊工業新聞 2022年6月9日