旭化成が営業利益4000億円へ、投資する1兆円超の使い道
旭化成は、2024年度までの3カ年で1兆円超を投資する新中期経営計画を発表した。水素関連や北米・豪州住宅、バイオ医薬製造プロセスなどの次の成長をけん引する10事業(GG10)に約6000億円をあて、抜本的な構造転換に着手する。GG10を中心に、営業利益を24年度2700億円(21年度見込み2131億円)、30年度近傍に4000億円へ引き上げる。
工藤幸四郎社長は11日のオンライン会見で「今中計は次の100年に踏み出す第一歩」と語った。同社は5月に創業100周年を迎える。脱炭素や資源循環などで事業環境が激変する中、前3カ年を1500億円上回る挑戦的な投資で事業ポートフォリオ転換を加速する。営業利益に占めるGG10の比率は24年度50%超、30年度70%超とする。一方、一部事業の縮小・売却も視野に入れる。
24年度営業利益の内訳はマテリアル領域1300億円、住宅950億円、ヘルスケア800億円と3領域がバランス良く稼ぐ形。30年度頃は「ヘルスケアが一番大きな営業利益となるのではないか」(工藤社長)とする。
構造転換を進める上で、工藤社長は「アセットライトを追求する」と強調した。特に25年度に事業化を目指す水電解による水素製造技術は、発電事業者などとの連携が不可欠。「自前主義から脱却し、積極的なパートナーシップでスピードを上げる」(同)とした。リチウムイオン電池セパレーターの拡大や石化再編も同様に、自前にこだわらず最適な形態を模索する。
旭化成は挑戦的な姿勢から“野武士”とも評されたが、「会社が安定し、おとなしくなった」(同)。新社長として、先頭に立ち、再度旭化成らしさを光らせ、改革を進める。
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日刊工業新聞2022年4月12日