NECが100億円出資したバイオベンチャーの実績
NECは、バイオベンチャーの米ボストンジーン(マサチューセッツ州)が実施した「シリーズB」の資金調達に応じ、日本産業パートナーズなどとともに出資した。資金調達の総額は1億5000万ドル(約170億円)で、NECによる出資額は約100億円。ボストンジーンは、全遺伝情報(ゲノム)検査を行う製品「テューモア・ポートレート・テスト」の海外展開に向けて、研究開発や臨床試験を拡充する。
またNEC、ボストンジーン、日本産業パートナーズの3社は2022年中に共同出資で新会社を日本に設立する。国内では新会社がテューモア・ポートレート・テストの独占販売権を取得し、医療機関などへ提供する。
NECはボストンジーンが実施したシリーズAの資金調達でも出資しており、19年から最先端のソフトウエアを組み合わせた個別化治療の実現に向けた取り組みをしている。
ボストンジーンは、個々の患者に最適な治療を行うオーダーメード型治療法の開発などで実績を持つスタートアップ。腫瘍ゲノミクスや患者の免疫機構と、利用可能なすべての承認済・開発中の治療法の有効性との相関を見いだすため、人工知能(AI)に基づくゲノム・免疫プロファイリングを行っている。
テューモア・ポートレート・テストでは、推奨される治療法や起こりうる変異、治療に対するバイオマーカー(生体指標)の反応などを提示することが可能。がん患者への個別化治療、がん免疫療法の提供に向けや臨床現場での精密医療に役立つ。
日刊工業新聞 2022年4月8日