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自動車部品メーカーで相次ぐ「健康経営」認定、大変革期との深い関係

自動車部品メーカーで相次ぐ「健康経営」認定、大変革期との深い関係

自動車部品メーカ-は健康経営に力を入れる(豊田合成の野菜たっぷりメニュー)

自動車部品メーカーが、従業員の健康管理を経営的な視点から戦略的に実践する「健康経営」に力を入れている。豊田合成と日本特殊陶業が経済産業省と東京証券取引所が健康経営を推進する企業を認定する「健康経営銘柄」に初めて選ばれるなど、部品メーカーの健康経営企業の認定が相次ぐ。事業環境の変化が激しい中で、従業員が健康であることが、新規事業などに取り組む原動力として欠かせない。(名古屋・山岸渉)

豊田合成は職場が主体となった健康づくり活動に加え、従業員の食生活の改善に向けた社員食堂での野菜やたんぱく質が豊富に摂取できるメニューの提供などに取り組む。従業員の健康への意識や行動の変化が表れている点が評価された。日特陶は従業員のヘルスリテラシーを向上させるため、海外を含む全拠点で産業医によるセミナーを同時配信し、組織一体での取り組みを進める。

またデンソーは経産省と日本健康会議が共同で実施する「健康経営優良法人(ホワイト500)」に6年連続で認定された。オンラインフィットネス教室を開催するなど従業員に寄りそう姿勢だ。

住友理工は6年連続で同法人の選定となった。従業員のメンタルヘルス不調の未然防止研修、受動喫煙・禁煙対策などに取り組む。愛知製鋼は5年連続で選ばれた。若年齢層への健康教育や、中・高年齢層への保健指導といった生活習慣病の予防などを推進している。

自動車業界は大変革期を迎えている。部品メーカーはCASE(コネクテッド、自動運転、シェアリング、電動化)やカーボンニュートラル(温室効果ガス排出量実質ゼロ)といった変化への対応が必須だ。

それだけに新たな発想などを生み出すには「まず従業員が健康で無いといけない」(部品メーカー幹部)と強調する声がある。新分野を開拓する原動力として従業員が健康で働きやすい環境を整備することの重要性が増している。

日刊工業新聞2022年3月31日

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