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都市観光の旗艦ホテル開設、星野リゾート・星野代表が語る大阪の魅力

都市観光の旗艦ホテル開設、星野リゾート・星野代表が語る大阪の魅力

星野佳路代表(星野リゾート提供)

インバウンド(訪日外国人)観光でにぎわった関西経済にコロナ禍が影を落とす一方、星野リゾート(長野県軽井沢町)がJR新今宮駅(大阪市浪速区)正面に都市観光のフラッグシップホテルを近くオープンするなど、明るい話題も出始めた。同社の星野佳路代表に展望を聞いた。

―4月22日に新ホテル「OMO7大阪」が開業します。

「地元の方からすれば新今宮は観光地のイメージはないかもしれないが、大阪城(大阪市中央区)やユニバーサル・スタジオ・ジャパン(同此花区)をはじめ、空港や新幹線へもアクセスできる交通の要衝だ。また近隣に新世界エリア(同浪速区)があり、観光客にとって魅力的な場所でもある。OMO7大阪は通勤客が『新今宮は変わった』『一度降りてみたい』と思える仕掛けづくりにこだわり、駅のホームからは滞在者が大きな庭でくつろぐ姿を一望できる」

―大阪の魅力は。

「大阪は京都と奈良への周遊拠点であり、世界的にもかなり注目されている。また2025年の大阪・関西万博は大阪の魅力を世界へ発信するチャンスでもある。25年へ向かって海外から旅行客を戻し、19年比で(売り上げが)プラスになるよう努めたい」

―近距離旅行を楽しむ「マイクロツーリズム」を提唱しています。

「マイクロツーリズムはこの2年の間にかなり進化した。11の商圏ごとに手法を変え、地域媒体と連携して地元の人向けに情報を出すほか、地域の食材で地元の人が知らなかった食べ方を提案するなどしてきた。バブル崩壊やリーマン・ショック、東日本大震災など、これまでも危機は頻繁にあったが、リピート率の高いマイクロツーリズムが下支えの意味で大事な市場であると今回再認識した」

―ホテル運営事業者として老舗旅館の再生に力を入れています。

「観光が好調なときには誰がやっても業績に差はないが、ホテル業界の厳しいときこそ真の実力が試される。(危機にあっても)淡々とブランド力を高め続けることが必要だ。大事なのはフラットな組織文化。当社は現場で物事を決めるほか、責任者やマネジメント層は立候補を募り、自分のキャリアをコントロールしてもらう。自分自身で能力を高め、失敗しても本人や社内の納得度が高い」

*取材はオンラインで実施。写真は星野リゾート提供

【記者の目/新たな魅力、大きい地元の期待】
大阪・新今宮はかつては日雇い労働者の街として治安の悪いイメージだったが、ランドマークの「通天閣」を中心とする新世界エリアを抱え、観光のポテンシャルが高い地域でもある。都市観光型ホテルに実績のある星野リゾートの新規開業は、同地に新たな魅力をもたらす可能性を秘め、地元の期待は大きい。(大阪・大川藍)

日刊工業新聞 2022年3月4日

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