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東北大と東芝が開発、原料コスト・資源リスクを抑えるボンド磁石の中身

東北大と東芝が開発、原料コスト・資源リスクを抑えるボンド磁石の中身

サマリウム鉄系のボンド磁石(東北大提供)

東北大学の杉本諭教授と東芝は、サマリウムを使ったボンド磁石を開発した。現行のネオジムボンド磁石と同等の性能を確認した。サマリウムは用途が限られ余剰気味。希土類(レアアース)を使い分けることで原料コストを抑え、資源リスクも抑えられる。

サマリウムと鉄をベースとし、コバルトとニオブ、ホウ素を添加する。溶解した合金を急冷凝固させて熱処理すると、鉄系の化合物結晶の境目にニオブやホウ素が濃縮される。

この磁石粉末を樹脂などで固めてボンド磁石にすると、性能を表す最大エネルギー積は1立方メートル当たり98キロジュールで、残留磁束密度は0・82テスラとネオジムボンド磁石と同等だった。高温での磁力低下はネオジム磁石の約半分に抑えられた。

希土類の使用量は元素比で6%とネオジム磁石の半分になる。サマリウムはネオジム採掘の副産物として得られるが余剰気味。希土類の採掘や精製は環境負荷が大きく、資源をうまく使い尽くす必要があった。

日刊工業新聞2022年3月1日

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