ファシリテーターが選ぶ「2015年この3本」#10 人工知能を機械学習したい!

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日立のEMIEW2(右)
 2015年は人工知能が市民権を得た年だったと言える。さまざまなメディアで人工知能関連の記事が読まれ、「人の仕事を奪うのか」という以前からのテーマも再燃した。政府が成長戦略に「ロボット」を掲げたことや、高次元の機械学習の一つであるディープラーニング(深層学習)が一般的に利用され始めたことも、ブームを後押しした。発達していく人工知能を我々はどう扱い、活用していくべきなのかという自問も含めて、以下の3本を。

●ワトソンを生んだIBM「機械学習=AIだと混同すると現実を見誤る」
http://newswitch.jp/p/1799

 現在、世の中で一般的に言われている「人工知能」は、その実「機械学習」であることがほとんどだ。なんでもかんでも「人工知能」としている状況に対し、「ワトソン」を生んだIBMが正しい理解について提言している。
人と同じように思考する人工知能が誕生する前に、大量のデータから機械学習によって導かれる新しい発見はまだまだある。ソフトウエアやアルゴリズムの向上で、扱えるデータの量はますます増える。IoT(モノのインターネット)により取得するデータの範囲も広がれば、可能性は未知数だ。

 正直な所、今の段階では専門家でもない限り、人工知能の正確な分類は分かっていないことがほとんど。何を人工知能とするか、の議論が巻き起こることも多い。ただユーザーが、これまでできなかったことができるようになるとか、生産性が格段に上がるといった革新性への期待や将来性を感じていることは確実だ。今はテクノロジーが社会に浸透する黎明期。それぞれの技術や手法がどう理解され、発展するのだろうか。

●人工知能の発達で社会がどこまで変わるのか?日立が対話できる基礎技術を確立
http://newswitch.jp/p/1480

 今年は日立の人工知能に関連する発表や報道が目立った。同社は以前からロボットの開発を進めており、ロボット自体を事業化するつもりはないが、関連技術をあらゆる事業に応用する姿勢を示している。ようやく基礎研究からビジネスの段階へと移ってきたことが伺える。ソフトからハードまで幅広くインフラビジネスを手がける日立が人工知能を実装することで、社会がどこまで変わるのだろうか。

 ファナックやトヨタ自動車など、それ以外のメーカーも同分野への投資を強化している。今後は有力な技術をもつベンチャー企業の取り込みも、より活発になるだろう。

●「2045年に人工知能が人間を超える」説は本当か?
http://newswitch.jp/p/1656

 「2045年問題」に対する関心も再び高まった。そのカギの一つを担うのが人間の脳の各器官を開発して統合し、人の思考に近づける「全脳アーキテクチャ」というプロジェクトだ。

 機械が人間を超える、という話題になると必ず仕事の置き換わりや、機械によって支配される社会、といった議論が巻き起こる。ただ産業用ロボットなどある面ではすでに人間を超えた能力を持つ機械は存在するし、技術の進化は止められるものでもない。「2045年問題」を改めて冷静に受け止め解釈し、技術をどう活用していくのか、そのためにどんな社会を作るのかを考える契機にするべきだろう。

COMMENT

政年佐貴惠
名古屋支社編集部
記者

2015年はロボット分野の話題が活況だった。これは一過性ではなく、当面続きそうな予感がする。最近のM&Aブームも相まって、2016年は技術進化だけでなく関わる企業の合従連衡も活発になるかもしれない。競争は激しくなるだろう。勝ち組となるには研究から実用化のスピードの速さも問われそうだ。

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