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不眠症治療用アプリのサスメドが承認申請へ

不眠症治療用アプリのサスメドが承認申請へ

上野社長

サスメドは1日、不眠症の治療スマートフォンアプリの製造販売承認を厚生労働省に申請した。2021年12月に東証マザーズに上場し、販売では塩野義製薬と販売提携契約を結んだ。治療用アプリの普及や、同社の事業展開について上野太郎社長に聞いた。

―開発した治療用アプリについて教えてください。

ものの考え方に働きかけて、ストレスを軽減する「認知行動療法」で不眠症を治療するスマートフォンアプリだ。日本の不眠症治療は睡眠薬を使った治療が多いが、デメリットも指摘される。依存性が強く、薬を止めた際に治療効果が薄くなってしまう点だ。認知行動療法はそういった懸念がなく、アメリカなどでは薬物療法よりも推奨されている。当社は患者1人当たり30分ほど必要な診療をアルゴリズムにより効率化する。薬と対面診療に続く治療法として確立したい。

―治療用アプリの普及をいかに想定していますか。

医師や患者が治療効果を実感できれば問題ないと考えている。有用性を感じてもらえれば、選択してもらえるソリューションだ。不眠症アプリの治験では優位な治療効果を示せた。当社のアンケートで臨床現場の医師も薬物療法には問題があると回答している。ただ、現在はリソース不足から認知行動療法を選択しづらい。治療用アプリはこの課題を解決できると考えている。

―事業の見通しを教えてください。

現状、不眠症の治療を行っている患者に加え、薬物療法を避けるため通院していない方にも訴求できると考えている。現実的な目標として年間400億円ほどの売上も可能だと見ている。医薬品同様、5年後に販売のピークが来ると想定している。

―販売や今後の開発において塩野義製薬と提携しました。

上場したばかりの当社が全国販売するのは難しい。塩野義製薬との提携は治療用アプリを広めるという視点からも重要だ。また、当社が開発する治療用アプリのプラットフォームも評価いただいた。このプラットフォームはスマートフォンにおける基本ソフト(OS)のような基板技術だ。プラットフォーム上で塩野義製薬の治療用アプリを共同開発する考えだ。当社は治療用アプリの治験などのノウハウを生かし、協力をしていきたい。

―ほかの領域での治療用アプリも開発中です。

乳がん患者運動療法や腎臓のリハビリなどの分野だ。臨床研究の段階で今後治験へ進んでいきたい。不眠症治療用アプリの収益や上場で得た資金を使い、研究開発を進める。黒字化は急がず、アプリのラインナップを揃えることを優先したい。既存の薬や治療の課題をアプリで解決できる領域で開発を進めていく。

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