誰もが働きやすく。日産が車両の組み立て工程に導入した自動化技術の効果

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日産は車体下からの作業を自動化して負担を取り除いた(栃木工場)

日産自動車が栃木工場(栃木県上三川町)で、働きやすさを追求している。車両の組み立て工程に最新の自動化技術を導入し、つらい姿勢での作業の撲滅を図った。エンジン部品の鋳造工程では明るく環境に優しい職場を実現し、女性の従業員比率が倍増した。

「無理な姿勢で8時間近く作業していた工程を自動化した」。日産の平田禎治常務執行役員は次世代生産システムの導入により、誰もが働きやすい職場に近づけることができたと自信を深める。

主要技術の「パワートレーン(駆動装置)一括搭載システム」はエンジンなどの部品を専用パレットにセットし、ロボットが車体下から部品群を一括して組み付ける。従来はきつい体制を強いられた車体下からの締結作業なども自動化した。

一方、車両を組み立てるメーンラインとは別に、部品群をユニットに組み付ける「サブ工程」では人による作業を続ける。平田常務執行役員は同工程の作業効率を例えばメーンラインの2倍にすることで「パートタイマーの方でも働ける職場にできる可能性がある」と更なる生産性向上を指向する。

エンジンのシリンダーヘッドを生産するアルミニウムの鋳造ラインも変革した。従来は砂型を有機素材の粘結剤で固めていたが無機素材に変更。鋳造時の熱で発生する有機ガスとにおいを回収するため、天井を覆っていた浄化設備が不要になり、開放的で明るい環境を実現した。

日産は鋳造ラインで明るく働きやすい環境を実現した(栃木工場)

またシリンダーヘッドの内部を自動で確認できるコンピューター断層撮影装置(CT)を導入。従来はヘッド内に内視鏡を差し込み目視で確認していたが、検査の作業負荷を大幅に軽減した。また外観検査でも10キログラム以上あるシリンダーヘッドを自動反転できる装置を導入。手で持ち上げて回転させながら目視確認していた作業の負担を減らした。

男性中心の職場から誰もが少ない負担で、安全に働ける工場づくりを推進。鋳造ラインでは女性の従業員比率が約2割に向上した。同ラインを担当する女性従業員は「職場が明るくなり働きやすくなった。においが付いていないかなどを気にする必要がなくなり、仕事終わりでも気軽に外出できる」と、生活面での変化も実感する。(西沢亮)

ポイント

日産の坂本秀行副社長は労働人口の減少などで「自動車の生産に従事したいという方が減ってきている」と危惧する。誰もが働きやすい生産現場の確立は、メーカーの競争力を左右する差し迫った課題だ。

日刊工業新聞2022年1月6日

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日産自動車

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