鉱工業生産指数が2カ月連続上昇の背景
車の生産回復
経済産業省が発表した11月の鉱工業生産指数(速報値、2015年=100)は前月比7・2%増の97・7となり2カ月連続で上昇した。半導体不足や東南アジアからの部材調達不足など調達面の制約が緩和し、自動車の生産が回復した。新型コロナウイルスの新変異株の台頭など先行きに不透明感が残るものの、基調判断は前月の「足踏みをしている」から「持ち直しの動きがみられる」に上方修正した。
業種別では全15業種のうち、11業種が上昇した。自動車は部品調達の制約が前月より一段と緩和し、同43・1%増と大幅に上昇した。このうち普通乗用車は同62・9%、駆動伝導・操縦装置部品は同27・2%それぞれ上昇した。プラスチック製品は自動車部品向けや食品パッケージ向けの需要増で同9・5%上昇。鉄鋼・非鉄金属は同6・5%上昇した。
製造業の生産計画を示す製造工業生産予測指数は12月が前月比1・6%の上昇、22年1月が同5・0%の上昇を見込む。国内自動車メーカーが12月に東南アジアからの部品の調達不足などを理由に生産調整を発表するなど下振れリスクがくすぶるが、「全体的な方向としては回復基調にあると考えられる」(経産省)としている。
日刊工業新聞2021年12月29日