ニュースイッチ

CO2排出量が30分の1、太陽熱と木質バイオマスを利用した「水素製造プラント」商用化へ

CO2排出量が30分の1、太陽熱と木質バイオマスを利用した「水素製造プラント」商用化へ

水素製造プラント(イメージ=京大提供)

京都大学の武田秀太郎特定准教授と九州大学のアンドリュー・チャップマン准教授、釜山開発機構の南ホソク研究員は太陽熱と木質バイオマスを利用して水素を製造するプラントの概念設計に成功した。既存のあらゆる水素製造法よりも二酸化炭素排出量が少ないという。水の電気分解の30分の1に当たる。産業界と協力し5年以内の商用化を目指す。

大きな反射鏡で太陽光を集熱タワーに集め950度Cの熱をデュアルチャンバー流動床ガス化炉に供給する。このガス化炉では木質チップを高温の砂に投入して合成ガスに変換する。この合成ガスを水蒸気改質して水素を得る。

ガス化炉から出る合成ガスの温度は870度C。この熱を利用して加熱水蒸気を作るなど、熱を効率的に利用する。

ライフサイクル環境インパクト評価をすると水素1キログラム当たり二酸化炭素排出量は1・04キログラムで済んだ。

既存の12手法よりも少ない。例えば風力発電の電力を使った水電気分解は排出量が2・21キログラムのため半分、系統電源を用いた水電気分解は29・54キログラムのため30分の1に当たる。

日刊工業新聞社2021年12月28日

編集部のおすすめ