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韻を踏み、相手をディスる。“AIラッパー”の正体【動画あり】

兵庫県立大がシステム開発

兵庫県立大学の三林亮太大学院生と大島裕明准教授らは、人工知能(AI)技術でラップバトルを再現するシステムを開発した。大規模な自然言語処理AIモデルを用いてバース(即興ラップ)を交互に生成する。現在の完成度は7割ほど。韻(ライム)を踏みながら、相手のバースの内容を受けてバースを返すことに成功している。ラップバトルの練習に提案していく。

自然言語処理AIの「GPT―2」や「BERT」を用いてバースの内容に対してバースを返すシステムを構築した。動画共有サイトで公開されているラップバトル620本をテキスト化して学習させた。

韻を踏む部分ではバースの最後の単語の母音を前のバースと一致させる。バースの末尾をAIモデルで複数予測し母音がそろうもの選択する。

ラップバトル体験システムは音楽に合わせてバースを吹き込むと、音声認識でテキスト化されてAIが解析。音楽に合わせて音声合成でバースが返ってくる。

ロボットとのラップバトル(イメージ=兵庫県大提供)

例えば「大阪は関西」というバースに対して「ローカルな言葉しか喋れないお前と俺の言語ツールペラペラだってことは分かっとるぜ開いた口映像。ふさがってる展望」と返す。

ラップは相手をディスる(否定する)のが特徴。コミュニケーションAIの研究ではユーザーを分析したり、気持ちよくしたりとポジティブな効果を与えるシステムが多い。ディスる技術は珍しい。韻を踏んだ文章生成はキャッチコピーや和歌や短歌などの生成にも応用できるため技術を展開していく。

日刊工業新聞2021年12月27日

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