電力会社が注目する新技術「DLR」とは?

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送電用鉄塔に設置した米ラインビジョンの光学式スキャナー

米ラインビジョン(マサチューセッツ州ボストン)は電力を送る送電線の監視システムを手がけるスタートアップ。光学式スキャナー(LiDAR)とEMF(電磁場)センサーを使って非接触で送電線の負荷状態を調べ、クラウドシステムを介して遠隔監視する技術を持つ。電線のたるみなど物理的な変位から、送電線の健全性や異常の兆候を検出することも可能だ。

LiDARなどは送電用鉄塔の脚に設置するため、送電線の電力を止めずに導入できる利点がある。近年は老朽化した送電線から出た火花により山火事が発生する事例もあり、送電網を効率よく監視する必要性が増している。ラインビジョンもニュージーランドなどで装置を提供中だ。

さらに今後、利用の広がりが期待されるのが「ダイナミックラインレーティング(DLR)」と呼ばれる技術。従来、電線の送電容量は線の仕様に基づく固定値で扱われてきたが、実際は気温や風の影響を受ける線の熱容量によって変動する。ラインビジョンのDLRはセンサーデータを解析することで、最大の送電容量をリアルタイムに把握。既設送電線の容量を最大40%増やせるという。

8月にラインビジョンと国内の独占販売代理店契約を結んだ丸紅の小西幸雄電力新事業ソリューション部新事業チーム長は「再生可能エネルギーの導入が増える中で、送電網の容量確保が再生エネ普及のボトルネックだと指摘されている。DLRは送電線交換の資金と時間をかけずに送電容量を増やせるため、電力会社などの関心は高い」と強調する。

DLRの技術は欧米を中心に導入が進んでおり、日本では10月に決定した第6次エネルギー基本計画で既存の電力系統の有効利用方法としてDLR導入に言及している。丸紅も6月から子会社の三峰川電力が保有する長野県の送電線で技術実証を開始済み。今後、電力会社や送配電会社への技術紹介を進めて、顧客の送電網での実証開始を目指す考えだ。(編集委員・錦織承平)

日刊工業新聞2021年12月10日

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送電 電力

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