コロナ禍の大学教育を模索する東大、独自の接触確認アプリ「モカ」の効果は?

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アプリの使用イメージ(川原教授提供)

新型コロナウイルスの感染拡大は大学教育にも大きな影響をもたらした。コロナ禍の当初はオンライン授業で対応していたが、徐々に対面授業が再開され、現在は併用型が主流となった。東京大学では感染症対策に独自開発のスマートフォン用の接触確認アプリケーション(応用ソフト)を導入。学生や教職員が教室などの公共スペースの滞在予約や滞在記録がとれるようにするなど、コロナ禍での大学教育のあり方を模索している。

2020年11月にリリースしたアプリ「MOCHA(モカ)」を開発したのは、東大大学院工学系研究科の川原圭博教授を中心とする教員や学生の有志のグループだ。

本郷(東京都文京区)や駒場(同目黒区)キャンパスなどの約1500カ所の教室や食堂、図書館などの公共スペースにブルートゥースビーコンを設置。モカを有効化したスマホがビーコンからの信号を受信することで、ユーザーが同意した条件に従い、匿名化したうえでキャンパス内の滞在情報をシステムに記録する。

アプリは各スペースの混雑情報を可視化できるほか、予約もできる。さらにモカのユーザーが新型コロナの陽性者となった場合、陽性者の同意に基づき、記録された滞在情報を利用して他のユーザーに接触通知ができる。政府の接触確認アプリ「COCOA(ココア)」に似ているが、モカは滞在情報を記録できるため、ココアを補うような機能だと言える。現在、約6000人の教職員や学生が利用している。

川原教授は「利用率が上がるほど有用性や利便性が上がるが、利用の強制ができないジレンマが常にある」としたうえで、「学生を含めたボトムアップ型の提案とすることで、信頼を得ながら利便性を向上できるように工夫をしている」と話している。(小川淳)

日刊工業新聞2021年12月8日

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