血小板の濃度はコロナ重症化リスクの目印になる。東大が発見
血栓症の仕組み解明期待
東京大学大学院理学系研究科の合田圭介教授らは、血小板の濃度が新型コロナウイルス感染症の重症化リスクのマーカー(目印)になり得ることを発見した。東大医学部付属病院に入院した新型コロナ感染症患者110人から採取した血液中の血小板の塊を大量に撮影し、その画像ビッグデータ(大量データ)を解析すると、約9割の患者に過剰な数が存在していたことが分かった。新型コロナ感染症における血栓症発症の仕組みの解明や重症化リスクの予測などにつながると期待される。
血栓症、特に微小血管で起きる「微小血管血栓症」が新型コロナの重症度や死亡率の重要な要因の一つであることは知られているが、血栓症の発症過程は未解明で、その詳細は分かっていなかった。
研究グループは東大医学部付属病院に入院した軽症から重症までの新型コロナ感染症患者110人から採取した血液中の循環血小板凝集塊をマイクロ流体チップ上で高速流体イメージングにより大規模に撮影。取得した循環血小板凝集塊の画像ビッグデータを用い、さまざまな解析を行った。
その結果、健常者と比較して全患者の87・3%に過剰な数の循環血小板凝集塊が存在することを発見した。
また、循環血小板凝集塊の出現頻度と新型コロナ感染症患者の重症度や死亡率、呼吸状態、血管内皮機能障害の程度には強い相関があることも明らかにした。
米バージニア大学とCYBO(東京都江東区)との共同研究。
日刊工業新聞2021年12月10日