増える衛星データ、有効活用促進へ経産省が一手
経済産業省は人工衛星のデータの利用環境を整備する。小型衛星画像の歪みを補正し他の衛星データと重ね合わせられるような衛星データ利用基盤の強化や、衛星データの解析ツールを開発。政府の衛星データプラットフォーム「テルース」に組み込み、データを質・量ともに充実させる。事業者による衛星データの販売やデータを利用したアプリケーション(応用ソフト)の開発などを促す。
宇宙航空研究開発機構(JAXA)の地球観測衛星「だいち3号」の衛星データを応用プログラムインターフェース(API)化し、テルース上で提供。同3号の画像データを基に小型衛星の画像を補正し、さまざまな衛星データと重ね合わせることが可能になる。
だいち3号は地球全体を撮影し、歪みがない高品質な画像が撮れるが、同じ場所を35日に1回の低頻度でしか撮影できない。一方、多くの小型衛星を連携させ運用する「小型衛星コンステレーション」であれば、低品質だが特定の場所を1日1回以上の高頻度で撮影できる。大型衛星と小型衛星コンステを組み合わせた高品質で高頻度の画像データを提供できる仕組みを構築する。
さらに地球の鉱物資源探査のため、小型衛星に搭載する多波長センサーを開発。既存の大型センサーとともに、小型衛星コンステを利用した探査システムの構築を目指す。2021年度補正予算案で25億円を計上した。
小型衛星コンステを構築し、農業や通信などの分野に利用する動きが進む。衛星データ量は増加しており、データを有効活用する仕組みの構築が求められていた。
日刊工業新聞2021年11月30日