トヨタ5割減・日産4割減…低迷続く自動車生産、底を脱したは本当か
乗用車メーカーが10月の生産・販売・輸出実績を発表
乗用車メーカー8社が発表した10月の生産・販売・輸出実績によると、8社合計の世界生産台数は前年同月比24・2%減の184万8125台で、4カ月連続で前年を下回った。半導体不足や、東南アジアでの新型コロナウイルス感染再拡大などの影響による部品不足が響いた。ただ同35・5%減だった9月に比べると、マイナス幅は縮小した。11月以降の生産も回復傾向にある。
8社合計の国内生産は、同40・2%減の48万1630台となった。トヨタ自動車は同50・9%減で3カ月連続、日産自動車は同44・9%減で2カ月連続のマイナス。三菱自動車以外の7社が前年実績を下回った。三菱自はスポーツ多目的車(SUV)「アウトランダー」の生産台数が増えた。8社合計の輸出は同43・4%減の22万6662台と、大幅に減少した。
8社合計の国内販売は同32・0%減となっており、生産の落ち込みが販売にも影響を及ぼした。ホンダがSUV「ヴェゼル」を中心に受注は好調とするなど、需要は底堅い。
部品供給の状況などが改善傾向にあることから、生産の落ち込みは底を脱したと見られる。11月のトヨタの世界生産は85万―90万台と、単月として過去最高水準の見込み。ホンダの国内生産は10月は従来計画比3割減だったが、11月は同1割減に留まる。
12月は、トヨタは7カ月ぶりに国内工場を通常稼働に戻す。世界生産は2カ月連続で過去最高水準を見込む。ホンダも12月上旬に国内工場の稼働率を正常化する。2022年1月からは挽回生産に踏み切る方針だ。一方で新型コロナウイルスの変異株「オミクロン」が見つかるなど「不透明な状況」(自動車メーカー幹部)は続きそうだ。
日刊工業新聞2021年11月30日