オフィスを快適するのは「風」、新空調製品が流行りそうな理由
オフィスに快適な風を生み出す製品・システムが相次ぎ登場している。LIXILはセンサーを使って室内外の温湿度などを測定し、心地よい外気が取り込める時間帯には自動で空調を止め、窓を開ける制御システムを発売。ダイキンとオカムラはオフィス家具と送風機を組み合わせ、避暑地である軽井沢の風を再現した製品を市場投入した。いずれもオフィスを快適な空間とすることで、働き手の健康増進や生産性向上を狙う。(大城麻木乃)
LIXILはセンサーで把握した室内外の温湿度とインターネットによる天候や花粉などの情報を組み合わせ、リアルタイムで独自の「快適指数」を解析。窓を開けた方が良いと判断した場合は、自動で窓を開ける制御システムを売り出した。自然換気と空調制御を調和させた「呼吸するオフィス」をうたい文句にしている。オフィスで空調が主体ではなく、積極的に外気を取り込むシステムは珍しいという。
2019年に完工した本社(東京都江東区)の新棟で2年間、実証実験を実施。快適指数は、異なる環境下での社員の仕事の集中度をアンケート形式で集めたり、学術発表されている温湿度と快適性などのデータを参照したりして独自に編み出した。
顧客に提案する際には、対象の建物と周辺建物をコンピューター入力し、風の流れを数値流体力学(CFD)解析して予測。最適な窓や空調の配置なども助言する。
快適さだけでなく、空調の消費電力の削減にもつながり、秋や春の窓を多く開けられる時期は1カ月に約20%の省エネルギー効果も見込めるという。新築ビルの施主をターゲットとし、システム単体で売り込むのではなく、同社の主力の窓サッシなどの営業の際に「新しい付加価値として提案する」(LIXILビル事業本部)としている。
ダイキンとオカムラは規則的な風ではなく、軽井沢の風を模したランダムに強さの異なる風が吹く送風機とオフィス家具がセットになった製品「ウィンドユニット」を発売した。オカムラのオフィスで使う棚に、9台の小型送風機が組み込まれた形状をしている。
軽井沢の自然の風の測定データを基に、「ゆらぎのある風」を送風機で再現したという。両社や有志企業が集まって実証実験を行う取り組み「ポイントゼロ丸の内」プロジェクトから生まれた初めての製品。実験中に利用者から商品化を望む声が多かったことから実現に至ったという。単体ではなく、オカムラがオフィス家具を販売する際に、選択肢の一つとして提案する。
コロナ禍で換気が話題となり、オフィス内の空気や風に注目する人は増えている。独自の工夫で快適な風が吹く製品が今後、はやりそうだ。