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省エネ性100倍以上、リザバー計算の光回路チップとは?

金沢大と埼玉大が開発
省エネ性100倍以上、リザバー計算の光回路チップとは?

開発したリザバー計算の光回路チップ。左上から光を入力し、右下から計算結果を出力する(金沢大提供)

金沢大学の砂田哲教授と埼玉大学の内田淳史教授らは、小脳の情報処理を模したリザバー計算の光回路チップを開発した。電子回路の100倍以上の省エネ性能が期待できる。異常検知や認識などの人工知能(AI)処理を高効率で実行するための基礎技術になる。

光の配線である光導波路の中で複雑に干渉してパターンを作る現象を計算器として利用する。そこでスパイラル型の結合マルチモード導波構造を数ミリメートル角サイズのシリコンチップ中に形成した。この導波路中で生じる疑似ランダムなネットワーク構造をリザバー計算に用いる。

特殊な時系列データの予測問題に適用したところ、毎秒1ペタ(ペタは1000兆)回以上の積和演算に相当する処理ができた。1回の積和演算に必要なエネルギーは0・15フェムトジュール(フェムトは1000兆分の1)と試算できた。

まだ原理実証の段階だが、光でAI処理をする省エネチップなどの開発につながる。

日刊工業新聞2021年11月5日

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