SiC半導体の性能6倍に、京大が堆積酸化膜で実現

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京都大学大学院工学研究科の木本恒暢教授らは、炭化ケイ素(SiC)金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)の高性能化に成功した。独自の堆積方式の酸化膜を、結晶面の細かい側壁に酸化膜を作る「トレンチ型」MOSFETに使用。従来の熱酸化膜をウエハー表面に形成する場合と比べ性能を6倍以上向上した。エネルギー損失が抑えられ、電気自動車(EV)や産業機器などでSiCデバイスの活用が進むことが期待される。

研究グループは高温水素処理によるSiC表面の清浄化後に酸化膜を堆積方式で形成し、一酸化窒素で界面を窒化する技術を2020年に確立した。SiCの原子レベルでの酸化を防ぎ、界面の欠陥を大幅に減少。熱酸化膜の2倍の性能を達成した。

今回はウエハーの側壁にあたる細かい結晶面で堆積酸化膜を形成することで界面の平坦性を確保。電子の走行をスムーズにして散乱の発生を防ぎ、高性能化を実現した。

耐電圧の増大や信頼性向上のために添加が必要になる高濃度アルミニウムを添加したSiCではより効果が高まった。界面がより平坦になり、電子の走行の阻害が著しく減少したとみられる。

SiCは原子間の結合力が強く、絶縁破壊や高温に強い半導体材料で、高性能パワーデバイスの材料として期待されている。一方、従来のケイ素(Si)に比べて酸化膜との結合界面に欠陥ができやすく、エネルギー損失の発生により能力を十分に発揮できていなかった。

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日刊工業新聞2021年10月28日

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