スーパーとは鮮度管理のレベル感が違う!「生鮮品」で競争力を高めるウエルシア薬局
ウエルシア薬局が食品の強化を急ぐ。そのカギを握るのが、今月開店したイオンタウン幕張西店(千葉市美浜区)。農産品など生鮮品の品ぞろえを充実した店舗で、イオングループとの協業を通じて調達や鮮度管理などでノウハウの獲得を進める。目指すのは自前による運用だ。生鮮品の取り組みは食品スーパーに限らず、コンビニエンスストアなど他業態で広がっている。新たな領域に踏み込み、ビジネスモデルの進化に挑む。
開店初日は、オープン前から長蛇の列ができ、盛り上がりを見せていた。晴れやかな式典後の会見でウエルシアの松本忠久社長が発したのは、危機感だった。「ドラッグストアとして新しい形で、5年先、10年先、変わっていかないと生きていけない」。
ウエルシアをグループに抱えるイオンの吉田昭夫社長も、自社の決算説明会で今回の取り組みに言及。「ドラッグストア業界は高い伸び率でこれまで成長を続けてきたが、ここのところ飽和感もある」と指摘。「次のステージへの成長を考えると、同業他社とは差別化された事業を確立する必要がある」と述べた。
成長の柱と位置付けられる食品。松本社長が目指すのは「ドラッグストアでできない食品」だ。ドラッグストアが手がける食品について、「スーパーとは鮮度管理のレベル感が違う」(松本社長)と話す。
ドラッグストアの食品の延長線にはない生鮮品の運用に向けて「鮮度感は自分たちで苦労して“内製化”して、できるように持っていきたい」(同)と力を込める。
食品の強化は、食を通じて健康を促すという点で、ドラッグストアが注力するのもうなずける。ポイントは、自前での生鮮品の運用。松本社長は「食品の内製化をしていかないと成長できない」と言い切る。その意味で、新店舗での取り組みはウエルシアの成長戦略の試金石となる。新たなドラッグストア像を追求する挑戦が始まった。