“北九州モデル”全国へ。光触媒の感染症対策実証スタート
フジコー(北九州市戸畑区、萩尾寿昭社長)は、北九州市、九州大学と共同で、新型コロナウイルスを含む各種感染症対策の実証実験を北九州市内で始める。二つの介護施設にフジコーが開発した光触媒製品を施工・設置し、3年をかけて臨床データを取得する。期間中は感染防止対策の有効性を検証するとともに、結果を基に病院や介護施設など幅広い分野に利用を呼びかけていく。
実証実験は介護施設の共用エリアの一部に消臭除菌床タイルと除菌シートを施工。空気消臭除菌装置も設置する。無施工の共用エリアと比較して、床やテーブルに付着する菌・ウイルスの数や、感染病発症者数などを観察していく。インフルエンザやノロウイルスなども対象とする。
2021年11月中に施工・設置を始め、22年6月以降は対象施設の拡大も検討する。北橋健治市長は「感染対策の有効性が実証できれば“北九州モデル”として全国に発信したい」と期待した。
フジコーの光触媒技術は酸化チタンと抗菌金属を混合した素材を800度C以下の低温で溶射し、基材に高密度に密着させる。奈良県立医科大学での新型コロナウイルス不活化実証実験では、同社製光触媒フィルターに付着したウイルスが2時間後に検出限界値未満となったことが確認されたとしている。
日刊工業新聞2021年8月27日