オリックス生命が定期保険料を改定。独自の戦略的対応とは?
オリックス生命保険は10月2日から定期保険3商品の保険料を改定する。契約プランの多くのケースで保険料が引き下がる。人生100年時代が到来する中、多様化するライフスタイルに柔軟に対応できる定期保険の競争力を高める。生保業界では改定は頻繁にはなく、保険料率を計算するベースとなる「標準生命表」が2018年に11年ぶりに改定された時、オリックス生命を含めた複数の生保が改定して以来。今回はオリックス生命が独自に戦略的対応を取る。
定期保険は「第一分野」に分類される生命保険商品の一つで、割安な保険料で死亡保障を準備できる。改定するのはネット専用定期保険「ブリッジ」のほか、代理店で加入できる「ファインセーブ」「定期保険」の計3商品。改定後に多くの契約条件で保険料が引き下げられる。例えばブリッジで保険金500万円・保険期間10年満了の30歳男性は現行保険料の87・5%になる。
今回の改定には、インターネット販売の競争激化に保険料の引き下げで対抗する狙いもある。ネット専業のライフネット生命保険は2021年3月期決算で新契約年換算保険料が前期比22・5%増を記録。長期化する新型コロナ禍で、外出自粛する消費者の受け皿になった。伝統的生保は、営業職員と顧客が募集から成約まで一連のプロセスを非対面で完結できる体制を整備している。
定期保険自体も20年1月に日本生命グループのはなさく生命保険が新商品を販売。21年5月には東京海上日動あんしん生命保険が解約返戻金をゼロにして割安な保険料で加入できる「スマートあんしん定期」を投入するなど競争激化の様相をみせる。オリックス生命は主力とする医療保険やがん保険に加え、人生100年時代に寄り添える定期保険の競争力を高める狙いだ。
日刊工業新聞2021年8月27日