米国半導体大手が日本で「DEI」重視の人材投資に注力する理由

マイクロン・テクノロジーの戦略

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増産を続けるマイクロンの広島工場

米国半導体大手のマイクロン・テクノロジーは、日本で「DEI(ダイバーシティー〈多様性〉・イコーリティー〈平等性〉・インクルージョン〈包摂〉)」重視の人材投資に力を入れる。2013年にエルピーダメモリを買収して以来、日本はDRAM事業の主力拠点となり、全社の研究開発をけん引する立場にある。旺盛な半導体メモリー需要に応じた増産にも積極的で、19―21年度の3年間における70億ドル(約7650億円)の投資は外資系企業として最大級だ。

マイクロンのサンジェイ・メロートラ社長兼最高経営責任者(CEO)は「最高のイノベーションは、チームメンバーの多様な経験、視点、背景から生まれると信じている」とDEI重視の経営を強く推進する理由を説明する。

加えて「さまざまな文化、経験や視点、豊富なスキルを持ったメンバーが生き生きと活躍できる環境を構築することこそが、企業のパワーの源であり、国際的な競争を勝ち抜く上での要となることを強く認識し、社内におけるDEIの浸透をグローバルレベルで促進している」と繰り返し強調する。

もちろん主力拠点の日本でもDEIの取り組みは活発だ。マイクロンの日本法人は、広島工場(広島県東広島市)をはじめとする国内5カ所の拠点に4300人以上の従業員が働いておりエルピーダを買収した13年と比べて16%増員している。

特に女性従業員数が18年から21年にかけて359人から624人へと74%拡大した。年平均の女性従業員増加率が20%を達成した背景にはジェンダー・ダイバーシティー重視の採用方針が生きる。過去3年間の新規採用者全体の35%は女性が占めているという。DEIの取り組みは順調に実を結びつつある。

その結果、調査機関「Great Place to Work Institute Japan(働きがいのある会社研究所)」による21年版「日本における働きがいのある会社」ランキングにおいて大企業部門の20位に入った。半導体企業では唯一の選出だ。

マイクロンはDEIへの世界的な取り組みが事業成長につながる好循環にある。半導体メモリーのDRAMとNAND型フラッシュメモリーの両分野で最先端の技術的リーダーシップを確立。業界に先駆けて1α(1アルファ)DRAMと176層NANDの量産を実現したことで第5世代通信(5G)対応スマートフォンの普及や自動車の電動化、新型コロナウイルス感染拡大によるノートパソコン・タブレット端末特需などの恩恵を受ける。

その中でも日本は有力な自動車メーカーが数多く存在しており、車載向けの事業拡大に向けた重要拠点として存在感が今後さらに増しそうだ。

日刊工業新聞2020年8月5日

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