DXに出遅れる日本企業。争奪戦のIT人材確保に必要なこと

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社内にデジタル変革(DX)の推進者がいない―。総務省がまとめた2021年版「情報通信白書」では、日本企業のDXの遅れが改めて浮き彫りとなった。特にIT人材の不足は大きな課題だ。9月にデジタル庁が発足予定で官民ともにDXへの関心が高まるが、成功には制度面まで踏み込んだ全社的な取り組みが欠かせない。

国内企業のIT投資は業務効率化を目的としたものが中心で、事業拡大や新事業創出などのビジネスモデルの変革に踏み込めていない。総務省の調査によるとDXに取り組んでいると回答した企業は製造業で13・3%、非製造業で13・4%。米国で5―6割に達しているのに比べ、低水準となっている。

また、DXを進める上での課題として「人材不足」を挙げた企業が53・1%に上った。日本ではシステム構築・運用面でシステム構築業者(SIer)への依存度が高く、自社で人材を抱える非IT企業が少ないことが要因の一つとされる。

高いITスキルを持つ人材が世界で争奪戦となる中、人材確保には従来の終身雇用のみにこだわらない柔軟な雇用制度が重要になる。ヤフーは20年にオンライン業務を原則とする副業人材を約100人採用した。「海外の優秀なエンジニアに週1日働いてもらうこともできる。業務委託を含めた多様な雇用形態を活用するのも手だ」と野村総合研究所(NRI)の阿波村聡経営DXコンサルティング部長は話す。

このような外部人材の活用を進めつつ、従来業務に従事する社員をIT人材に転換する「リスキル」もカギになる。「トップメッセージとして会社の方向性と求めるスキルを明確にし、(社員のキャリアに)責任を持つことを宣言することが必要だ」と阿波村部長は指摘する。コロナ禍で収益が落ち込み、ビジネスモデルの転換を求められる企業も少なくない。いかに社内外で優秀な専門人材を確保し、ITを用いて新たな収益の柱を築けるかが問われる。

日刊工業新聞2021年8月2日

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