業務時間1000時間削減。めざましい成果を上げたSMFLのRPA活用法

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製造業的手法で効率化

「業務時間を年間1000時間削減」「顧客情報の収集時間を年間800時間削減」―。三井住友ファイナンス&リース(SMFL)は、2019年に全社展開したRPA(ソフトウエアロボットによる業務自動化)で目覚ましい成果を上げている。ノンバンクにあって、製造業の代表的な経営・品質管理手法「シックスシグマ」の思想を軸とする独自性が際立つ。(編集委員・六笠友和)

年間1000時間の業務時間削減は検収立ち会い登録RPAで実現した。検収とは、納品されたリース商材が正しい仕様で正しく設置されたかなどを確認する作業。立ち会う営業担当者が、モバイル端末のアプリケーション(応用ソフト)上で商材などの写真を撮ると、画像や位置情報、顧客データ、契約内容など関連情報一式が基幹システムに自動登録される。

以前からある営業活動用の独自開発アプリに、検収立ち会い登録機能を加えた。事務員はシステムに手打ち入力したり、画像登録したりといった煩わしい作業からほぼ解放された。より付加価値の高い仕事に集中できる環境を整えた。

年間800時間の削減は、新規顧客の情報を集約するRPAでかなえた。リースでは初めての取引前に与信情報をはじめとした顧客情報を集め、初期判定するプロセスがある。関連する情報は社内のさまざまなシステムに点在しており、各所から集めてくるのが手間だった。表計算ソフトウエアを改善し、RPAと組み合わすなどで自動化、効率化を図れた。

RPAをはじめデジタル変革(DX)を主導するのは、イノベーションプロジェクトチーム(PT)だ。イノベーションPTはSMFLが後に経営統合する日本GEの金融部門(旧GEキャピタル、旧SMFLキャピタル)出身者を中心に構成されている。

米ゼネラル・エレクトリック(GE)は製造部門に限らず、金融部門にも早くから先端のデジタル技術を持ち込んでいた。また、シックスシグマ経営の代表的な企業であり、シックスシグマは日本GEの金融部門でも徹底されていた。

SMFLでのRPAの取り組みは、製造業的だと言える。業務の課題把握、改善、改善の横展開を繰り返す。PTリーダーの川名洋平氏はRPAの導入に当たり、「まず当該業務が真に必要であるのかの見極めが大切だ」と指摘する。

RPAを単に今ある業務に適用するのではなく、まず残すべき業務、なくすべき業務を仕分ける棚卸しを前提とする。RPAは残すべき業務の改善手法の一つに過ぎず、最善策が他にあればそちらを採用する。

全社レベルで推進するためシックスシグマの階層制度を取り入れている。プロジェクト統括者は「チャンピオン」、改善リーダー格は「ブラックベルト」だ。また独自に啓発担当を「アンバサダー」と称し、紙にインクが染みこむような、プロジェクトの自発的な広がりのある組織体制とした。

動機付けとなる報奨金制度も取り入れている。

日刊工業新聞2021年7月29日

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