NEDO、災害対応ロボットフォーラム開催―元DARPAギル・プラット氏など登壇
災害対応ロボット競技会では1人でもヒューマノイド開発
サイトに公開
東大や産総研は米国防高等研究計画局(DARPA)の開いた災害対応競技会(DRC)で各技術を開発。東大はJVRCの期間中、開発した技術をプログラム共有サイトに随時公開した。MIDの松坂要佐氏は「私が東大のプログラムを改良して東大に返すなど、競技は競い合いながらも競技者同士はつながっていた。なにより個人レベルでも開発の輪に入ることができた」という。
MIDは東大のヒト型ロボ「JAXON」の下半身をクローラーに変更し、走行性を安定させて高得点を獲得した。これは東大がJAXONのシミュレーションモデルを公開したからできたことだ。通常、モデルを公開すれば設計データをコピーされてしまう。東大の稲葉雅幸教授は「重要な部分は当然守る。技術をオープンにすると若い研究者もヒューマノイドに取り組め、人材の裾野が広がる」という。
解説不足も
一方で、課題もある。例えば参加者らは「チュートリアル(基本操作説明)が少なすぎる」と声をそろえた。ロボットを動かすシミュレーター自体は非常に良くできていたが、解説不足で参加者がつまずいた。誰でも簡単に取り組めるようになれば波及効果は大きい。例えば米航空宇宙局(NASA)は月面基地の隕石災害対応をゲーム化して無料配布している。宇宙コミュニティーを広げるのが狙いだ。
2020年のロボット五輪の成否は、技術開発と同等に技術の見せ方や一般人の参加しやすさが左右するだろう。国以外のスポンサーを確保し、持続可能な開発手法として競技会方式を確立できるか注目される。
(文=小寺貴之)
日刊工業新聞2015年11月27日 機械・ロボット・航空機2面に加筆