2兆円の戦略投資枠を設けたソニー。10億人とつながる将来像を描く
ソニーグループは26日、経営方針説明会を開き、2021―23年度の3年間に2兆円の戦略投資枠を設定すると発表した。エンタテインメント事業を中心としたコンテンツの知的財産(IP)と、顧客とつながる「DTCビジネス」への投資に重点を置き、技術、自己株式取得にも投資を進める。吉田憲一郎社長は「DTCではゲームを中心に現在顧客が約1億6000万人いる。モバイル分野などにチャレンジし、10億人にまで拡大していく」と説明した。
経営方針説明会は、4月に現社名に変更してから初めて。今後の方針として、モビリティーを重点領域の一つに位置付け、開発を進める電気自動車(EV)「VISION―S」について、第5世代通信(5G)を活用した走行試験を4月中旬にドイツで開始した。
吉田社長は「これからは車がクラウドでつながる『コネクテッドカー(つながる車)』になっていく」とし、車載センシングや相補型金属酸化膜半導体(CMOS)イメージセンサーといった強みの技術のさらなる活用に注力する。
顧客ニーズの影響を受けやすい半導体事業については、EVの台頭やスマートフォン用カメラの多眼化で需要は維持すると見通す。
また吉田社長は台湾積体電路製造(TSMC)との合弁構想について明言を避けつつも、一般論として「半導体を安定的に調達することは日本の国際競争力の維持に重要と捉えている」と述べた。
日刊工業新聞2021年5月27日