近藤那央のロボット解体新書! モータ、角度センサメーカー 多摩川精機(前編)

海底から宇宙まで!モノを動かすモータの中身に迫る

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写真右より、新井昭文代表取締役社長、近藤那央、開発営業本部 FAプロジェクト技術担当 西田茂部長
 ロボット、自動車、航空機、深海探査機…私たちの身の回りのたくさんのものを動かしている「縁の下の力持ち」をご存じだろうか。モータである。理科の実験などでモータと電池をつなげてラジコンカーを動かすなど、一度は触れたことがあるだろう。モータの中身ってどうなっているの?いろいろな場所で活躍するモータってどんなもの?…秘密を探るべく向かったのは東京から高速バスで4時間半。長野県飯田市の多摩川精機に伺った。この地(※1)で、さまざまな最新鋭モータが生み出されているのだ。

地元に産業を興し地域を活性化させたい


 海底10,000メートルのマリアナ海溝探査機から火星探査機「キュリオシティ」まで―多摩川精機の製品が活躍する場所は世界中、多岐にわたる。最近では三菱航空機が開発を進めるMRJにも採用され、産業用ロボットにもなくてはならない存在だ。

 しかし同社はもともと、「地元に産業を興し地域を活性化させたい」という想いからスタートしたのだった。1938年に東京・多摩川のそばで創業したのち、1942年に創業者の故郷である長野県飯田市に工場を開設した。ここは現在も本社および第1事業所としてリノベーションし使用しており、歴史を感じさせる魅力的な建屋となっている。

 第二次世界大戦中は戦闘機の燃料計を製造していた。「燃料計といっても燃料タンクに木片を浮かべてその上下にしたがって角度が変わるよう腕木をつなげ、角度をセンサで測って表示器の針を動かすという原始的なものでした」と、多摩川精機販売の新井昭文代表取締役社長は説明する。だが、ここから「角度センサ」と「サーボモータ」という製品が生まれた。さらに、傾きを検出する「ジャイロ」も、方位を出すコンパスなどとして製造しており、この3つが現在同社の柱となる製品である。そして角度センサとモータを組み合わせたものがロボットに使用されている。

 長らく防衛・航空向け製品が全社売り上げの大半を占めていたが、戦後は民間向け製品も開発を進め、現在では産業ロボットを含めた工場設備向けが40%を占め、自動車、航空機や新幹線などモビリティ関連が30%、防衛・宇宙関連は20%という構成になっている。また近年ではライフサイエンス分野へも進出している。
「自動車関連ではトヨタのプリウスには同社のモータ用センサがほぼ100%使用されており、この種のセンサを年間700万~800万個を生産しています。新幹線では車両ごとにつけられたモータの動きを同期させ制御する装置のセンサにも使用されています」(新井社長)。

 さらにもともと得意としていた防衛向け製品を民間向けに開発・供給することをめざし、10年前からボーイング787の操縦系統向けに製品納入が開始。この関連でMRJへの採用も決まったという。「現在旅客用航空機は世界で2万機ほどですが、今後20年のうちに4万機弱が作られると言われています。当社としてもこれに対応し注力していきますし、飯田地域の企業でクラスターを形成しており、それらとも連携していく方針です」(新井社長)。

小指の先ほどから、30cm角ぐらいのサイズまで


新井社長「モータにはいろいろな種類があります。当社では小指の先ほどから、30cm角ぐらいのサイズまでのモータを扱っています。今一番多いのは産業用ロボット向けモータ。産業用ロボットは人間の腕と同じような動きをさせるため、6つ或いはそれ以上の関節(※2)で動くようになっています。当社のモータはロボットの関節の部分についています」
開発営業本部 FAプロジェクト技術担当 西田茂部長「だいたいビルの2階くらいの高さのロボットもあります」
近藤「すごく大きいですね!どんな作業をするんですか」
新井社長「たとえばプレスした自動車のボディを機械から取り出す作業。また車の溶接、塗装など複雑な動きが要求される工程に使用されます」

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COMMENT

昆梓紗
デジタルメディア局
記者・編集者

多摩川精機は地元に航空産業を興そうとさまざまな取り組みをしています。自社の強みを生かしながら新たな分野へと積極的に進出していく姿勢を見習いたいものです。

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