窓が1500万円。住宅関連企業が高級品で富裕層に照準のワケ
住宅関連企業が富裕層向けビジネスに力を入れている。LIXILは高価格帯の住宅建材ブランドを立ち上げ、本社(東京都江東区)に専用の展示室を設置した。大和ハウス工業は富裕層向けの一戸建て住宅を開発。クリナップはイタリアの高級キッチンメーカーと日本市場限定の高級キッチンを共同開発した。在宅時間の増加に加え、株高や低金利で富裕層の住宅購入意欲は高まっており、各社とも売り込みに熱がこもる。(大城麻木乃)
LIXILは高級住宅建材ブランド「ノデア」を4月に創設した。これまでのLIXILブランドとは別の扱いとし、ショールームも既存の店舗ではなく、本社に広さ400平方メートルの展示室「ギャラリー」を設置して1日3組限定で案内する。外の自然を身近に感じられるよう幅が最大13メートル、高さが3・5メートルと超大型の透明ガラス窓を展示。バルコニーのような室内と外の中間地点に電動で開閉できる羽根状の屋根(ルーバー)を取り付け、時には屋根を開けて星空を眺めながら休息できるエクステリア製品も紹介する。透明ガラス窓の場合で価格は1窓1500万円(消費税抜き)からだ。
「軽井沢や沖縄などリゾート地での別荘向けに引き合いがある」(羽賀豊事業部長)という。年収の高い富裕層はおおむねテレワークが多く、郊外にセカンドハウスを設け、自分好みに家をつくりこむといった需要も見込んでいる。
大和ハウス工業は1棟約7000万円(消費税込み)からと同社としては最高級の一戸建て住宅「ウッドレジデンス希」を4月末に発売した。こだわりの住宅ニーズに応えるよう一級建築士らで構成するデザインチーム「ジザイ・デザイン・オフィス」を立ち上げた。当初は東名阪を中心に年間約50棟の販売が目標だ。
クリナップはイタリアの高級キッチンメーカーのバルクッチーネと共同で、日本市場限定モデルの高級キッチン「イアポニカ」を4月に発売した。コロナ禍で在宅時間が増え、「従来より品質の高いキッチンを求める声が多い」(竹内宏社長)という。
野村総合研究所によると、純金融資産が1億円以上の富裕層は2019年に約133万世帯と17年比で6万世帯増加している。コロナ禍で旅行やレジャーに支出する機会が減る中、富裕層の住宅購入意欲は高まっており、各社とも対応を急ぐ。