インセンティブ付与で経営層の意識改革も。政府の次期サイバーセキュリティ戦略の中身
政府は、次期サイバーセキュリティ戦略の骨子案を示した。デジタル経済の浸透やコロナ禍での環境変化、安全保障上の脅威などサイバー空間が進化していることを念頭に、国民や社会を守るためのセキュリティー環境の提供を進める。有識者の意見を踏まえて年内に策定し、今後3年間の施策目標や実施方針として示す。
デジタル社会の進展に伴い、骨子案はサイバー空間があらゆる主体が参画する公共空間として国全体のリスク低減やレジリエンス(復元力)向上の重要性を示した。9月に発足するデジタル庁を司令塔にしたセキュリティー環境構築や大規模なサイバー攻撃発生時の対処体制強化などへの具体的施策を進める。
国民や社会が安心して利用できる環境を築くため、デジタル化に関する地域コミュニティーの発展や中小企業向けサービスの審査登録制度などを通じ、知見や人材が不足している状況に対応する。ガイドライン(指針)に基づく取り組みの可視化やインセンティブ付与などによる経営層の意識改革も図る。
サイバーセキュリティ戦略の策定は3回目となる。首相官邸で開いた会合で加藤勝信官房長官は多様化、高度化するサイバー攻撃を踏まえて「オールジャパンで実効的な防御が必要」と述べた。
日刊工業新聞2021年5月14日