イオンが「デジタル事業」の売り上げ1兆円へ、その戦略とは?

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中期経営計画を説明するイオンの吉田社長

イオンがデジタル変革(DX)を加速する。電子商取引(EC)やネットスーパーなどの「デジタル事業」の2026年2月期の売り上げで、20年2月期比約14・3倍となる1兆円の目標を設定。ビッグデータ(大量データ)や人工知能(AI)を活用したオペレーションの効率化なども進める。新型コロナウイルス感染拡大で、消費者の購買心理・行動が大きく変化。デジタルシフトを成長戦略に位置付け、事業基盤の再構築を急ぐ。(編集委員・大友裕登)

「デジタル事業そのものの加速、顧客基盤の拡大を図る」。吉田昭夫社長は、こう力を込める。

イオンは、26年2月期までの5カ年の中期経営計画を9日に公表。売上高にあたる営業収益で20年2月期比27・8%増の11兆円、営業利益で同76・3%増の3800億円を目標に掲げた。達成に向けた柱の一つが、デジタルシフトだ。

主な取り組みは「デジタル事業の加速」「店舗、本社・本部のデジタル化」「共通デジタル基盤の整備」の3テーマ。デジタル事業の加速では、ECやネットスーパー、店舗とネットを融合させる「オムニチャネル」を拡大する。店舗、本社・本部のデジタル化ではセルフレジの導入や店舗オペレーションなどの効率化などを進める。共通デジタル基盤の整備では、データ基盤構築による利益率の改善、顧客データを活用した広告収入などの新たな収益源の創出などを狙う。

企業にとって、デジタル化対応は待ったなしの課題。それは巨大流通も一緒だ。吉田社長は「(中計期間の)5年という時間の中で、やっていかないと出遅れてしまう」と危機感をあらわにする。「我々が遅れているのは認めないといけない。その分、伸びしろを持っている」と強調する。

目指すのはリアル(店舗)を持つ強みの発揮。「(イオングループの)会員規模を活用しながら、新しい顧客をとっていくことが可能」(吉田社長)とみる。また「後発なりに成功事例を移植」(同)し、既存の顧客ベースに乗せることでプラスの効果が期待できるとしている。リアルとデジタルの融合で、需要を着実に取り込んでいく考えだ。

イオンは21年2月期連結決算の当期損益で710億円の赤字を計上。赤字幅は過去最大だ。臨時休業や営業時間の短縮、客数の減少の影響を受けた。業績の急回復、さらには持続的成長に向けて、デジタルシフトに力を注ぐ。

日刊工業新聞2021年4月15日

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