5ボルト超でも劣化抑えるリチウム電池、東大が開発
東京大学のコ・ソンジェ特任助教と山田淳夫教授らは、5ボルト超の作動電圧でも劣化しにくいリチウムイオン電池を開発した。正極の導電補助剤として用いる炭素が剥がれ、炭素を起点に電解質が分解される副反応を抑える。通常に比べ約3倍濃い電解液を用いつつ、炭素表面に保護膜を作った。今後、この保護原理を応用して新しい電池材料を開拓する。
電解液の溶媒にスルホランを採用し、通常の3倍濃いリチウム塩を溶かした。その結果、正極の炭素導電補助剤の表面にスルホラン由来のスルホ基の保護膜が形成された。スルホ基はリチウムイオンを電極に受け渡すが、マイナスイオンを遮断する効果がある。
炭素の剥離はマイナスイオンが炭素と炭素の隙間に入り込むことで起きる。電解液が濃いとマイナスイオンがリチウムイオンと配位される。さらに保護膜があるため炭素の中に入り込みにくくなる。
日刊工業新聞2021年4月5日