理研が割れにくいガラスシート開発、限界と言われた薄型化可能に
理化学研究所の研究グループは、変形しても割れにくい柔軟性を持った薄板状のガラスシートを作製する方法を開発した。真空炉の中で重りを付けたガラスに対し、ガラスが変形し始める温度より低い温度で加熱し、時間をかけて延ばすことで厚さ3マイクロメートル(マイクロは100万分の1)の薄板ガラスを作れた。マイクロ流体デバイスやディスプレー材料、光学材料などへの応用が期待される。
重りの重さを変えることでガラスの厚みや長さ、幅などの形状を制御でき、用途によって最適な形状を設計することが可能。
ガラスは硬い材料だが、厚さを10マイクロメートルより薄くすることで柔軟性が向上する。厚さが最も薄い既製のガラス製品は4マイクロメートル。ガラスの特性上、薄型化には限界があった。
研究グループは、理化学用途で使われる「ホウケイ酸ガラス」を利用。厚さ30マイクロメートルのガラスの両端に厚み700マイクロメートルのガラスと重りを取り付け治具で固定した。真空炉に入れ、ガラスが変形し始める温度である736度Cより低い690度Cまで2時間半かけて加熱し、その状態で1時間保った。さらに2時間半かけて520度Cに下げ、その後5時間程度自然冷却し室温近くになってから取り出した。
作製したガラスは大きな曲げやねじりに対し柔軟性を持つことが分かった。電子顕微鏡でガラスを調べたところ、3マイクロメートル程度まで薄くなっていることを確認した。
さらに超薄板ガラスを応用し、加圧による膜の変形を利用した圧力センサーに使えることを示した。