【革新!温暖化対策#02】塗るとクルマで発電ができる日本発の太陽電池
「ペロブスカイト」世界各地で効率更新。東大が世界新
また、また世界記録が更新された
日刊工業新聞2015年11月13日付
東京大学先端科学技術研究センターの瀬川浩司教授らは、半導体シリコンを使わない有機系太陽電池で、エネルギー変換効率21・5%と世界最高値を達成した。ペロブスカイト太陽電池と広帯域色素増感太陽電池を組み合わせ、韓国の研究機関が単体のペロブスカイト太陽電池で記録したこれまでの最高値20・1%を上回った。今後、太陽電池セルの性能向上などを進め、2020年頃までに同25%超を目指す。
ペロブスカイト太陽電池は、製造方法が簡単で高い変換効率が得られる低コストの次世代太陽電池として注目されている。ただ、それに用いる有機金属ハライドペロブスカイト結晶が吸収できる光が、おおむね800ナノメートル(ナノは10億分の1)以下の可視域に限られ、太陽光に多く含まれる近赤外域の光を吸収できない。
瀬川教授らは、1100ナノメートルまでの近赤外光を吸収できる広帯域色素増感太陽電池を開発。ペロブスカイト太陽電池と組み合わせた複合型太陽電池を構築した。
特定の波長より短い波長の光を反射する半面、それ以外の長波長の光は透過するダイクロイックミラーを利用。太陽光を分光し、ペロブスカイト太陽電池が吸収できない近赤外光は、広帯域色素増感太陽電池に吸収させることによって光エネルギー変換時の損失を低減、高効率化した。
日刊工業新聞2015年11月12日「創刊100周年特別号」から抜粋・加筆