経営再建中のトクヤマが成長路線に舵、重点事業は?

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トクヤマ公式サイトより

経営再建中のトクヤマが、成長路線にかじを切る。2022年3月期からの5カ年計画は、現中期経営計画の実績比で約2倍となる2000億円の設備投資を予定し、最終年度の26年3月期に21年3月期見込み比約3割増となる営業利益400億円を目指す。トクヤマはマレーシア事業での巨額損失後、事業戦略の再構築や財務体質改善を実施してきた。次期中計では成長事業に位置付ける電子材料、ライフサイエンス、環境事業に重点投資し、事業ポートフォリオの転換を進める。(取材=江上佑美子)

【最低限の目標】

「会社を持続するのが最低限の目標だった。トップライン(売上高)、営業利益は(目標に)到達しなかったが、次の飛躍に向けた財務基盤や一定の技術の仕込みはできた」。横田浩社長は21年3月期までの5カ年経営計画をこう総括する。DEレシオ(負債資本倍率)は16年3月末の4・7倍から、20年12月末は0・5倍と、大幅に改善した。

トクヤマは08年にマレーシアで太陽電池向け多結晶シリコンのプラント新設を決定、計2000億円を投じた。しかし11年には供給過剰に伴い市況が悪化。半導体向けグレードの製造を目指したが、製造に関する課題を解決できず、17年に韓国企業へ9800万ドル(約100億円)で譲渡した。

【「再生の礎」】

前社長が引責辞任後の15年3月に就任した横田社長は、16年3月期から5カ年の中期経営計画「再生の礎」を実施。マレーシア工場をはじめとした不採算事業撤退や、優先株発行や劣後ローンの借り換えなどの財務基盤の強化に取り組んできた。

新中計について横田社長は「成長ドライバーをいかに伸ばすかに注力したい」と語る。成長事業に見込む「電子」「健康」「環境」分野の連結売上高比率を、21年3月期見込みの計36%から、26年3月期には50%超に伸ばす考えで、投資を集中する。

拠点拡充などによる海外市場の開拓も図る。21年3月期見込みで約20%の連結海外売上高比率を、31年3月期には50%以上にする考えだ。「特に電子分野では国内顧客は少なくなる中、会社の発展に国際化は不可欠」と横田社長は意欲を示す。窒化ケイ素や化粧品素材、水処理膜なども拡販する。

【地球温暖化防止】

地球温暖化防止への対応も進める。エネルギーを大量消費する上、国内での大きな成長が望めない化成品、セメント事業の売上高に占める比率を、21年3月期見込みの46%から、10年後には29%に下げたい考えだ。

バイオマス燃料を活用するほか、二酸化炭素(CO2)回収利用技術(CCU)技術開発にも取り組み、50年度のカーボンニュートラル実現を目指す。


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日刊工業新聞2021年3月10日

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