東大や東工大などが「超高速画像処理技術」で新組織、その狙いとは?
東京大学や東京工業大学、千葉大学など10大学の研究グループは、2021年春にも超高速画像処理技術を利用し事業化を目指すための新組織を立ち上げる。デバイスや自動車部品などの事業化を目指す企業と高速知能システムの研究を行う大学をマッチングし、共同研究を実施する。今後、高速画像処理を利用した技術の導入や研究開発計画を持つ企業を募り、20―30社、20テーマ程度の共同研究の実施を目指す。
組織名は「高速ビジョン研究開発ハブ(仮称)」。東大の石川正俊特任教授を中心に10大学が参加する。16年度に採択された科学技術振興機構(JST)の「戦略的創造研究推進事業ACCEL(アクセル)」プロジェクト終了に伴い、その成果を事業化に結びつけ、高速画像技術の世界標準を目指す。
一方、高速画像処理の普及や用途拡大、新規産業創出を目指すコンソーシアム「WINDSネットワーク」とも協力する。会員数は20年7月時点で210組織。
共同研究のやり方の一例として、共同研究を実施する大学は企業から1件当たり年間1000万円程度の経費を徴収。大学側は共同研究テーマ専任の博士研究員(ポスドク)を置き、ポスドクの給与や研究費などに経費を充て、事業化のための研究開発を推し進める。
1秒当たり1000枚を超える画像処理能力を持つ高速画像処理システムにより、製造ラインのロボットの高速化や障害物の検出による自動運転制御などへの応用が期待されている。
日刊工業新聞2021年3月9日