「捨てないアパレル」をビジネスに!低価格品増加に危機感
婦人服のデザインや製作、販売を手がけるニィニ(埼玉県蕨市、保坂峻社長)は、自社のあり方として「捨てないアパレル」を理念に掲げる。周知の一環として地元の小学生を対象とした見学会のほか、シンポジウムなどを開く。一連の活動は企業の社会的責任(CSR)と国連の持続可能な開発目標(SDGs)のゴール12「つくる責任 つかう責任」を意識したものだ。保坂郁美取締役に活動の詳細を聞いた。(さいたま・阿部未沙子)
―「捨てないアパレル」とは何ですか。
「洋服の廃棄量が増える中、3年ほど前に思いついた言葉だ。ファストファッションの流行で低価格な服が増加した。消費量も増えるとともに、洋服の廃棄が問題視されるようになった。こうした風潮もあり、作り手に伝える責任があるのではないかと考えた」
―周知活動として見学会を開いています。
「モノづくりをする上で教育こそ重要ではないかと考える。約10年前から年2回ほど、小学生を当社に招いて裁断や縫製などの工程を見てもらっている。モノづくりの楽しさを伝えながら、『洋服って何のためにあると思う?』と問いかける。また、中学生や高校生を対象にした講演も企画している。今後はオンラインなどでも実現していきたい」
―教育以外でも「捨てないアパレル」を訴求しています。
「当社主催の『連続シンポジウム』を2018年と19年に開いた。連続と名付けたのは伝え続けることが大切だと考えたためだ。これまで社外の人にファッション業界の裏側を描いた映像作品を見てもらっていたが、今年から当社社員と一緒に観賞することにした。自分たちが作った洋服に、誇りを持ってほしいという思いがあったからだ」
―今後の目標を教えて下さい。
「『捨てないアパレル』という理念をビジネス化したい。例えばクリーニング店がリメークした服の洗濯に苦慮しているという話を聞いた。当社がクリーニング店と提携することで、新たなビジネスを生み出せるかもしれないと考えている」