セミナーに決算説明会… Clubhouseのビジネス活用は定着するか?

  • 0
  • 3
クラブハウス活用で認知度向上やリード獲得が期待されている

米スタートアップ発の音声SNS(会員制交流サイト)「Clubhouse(クラブハウス)」をビジネスに活用する動きが広がっている。視聴者が気軽に参加できる特徴を生かし、見込み顧客獲得に向けた情報発信の場として活用。決算説明会を配信する企業も出てきた。黎明(れいめい)期にあるクラブハウスを自社の成長に生かすべく関連サービスの開発も加速している。(狐塚真子)

広いユーザー層、高い集客力

ウィルゲート(東京都渋谷区)ら5社は22日、ベンチャー企業約50社のCOO(最高執行責任者)が集まって自社の取り組みを紹介する「ベンチャーCOO大登壇会」のオフ会をクラブハウスで開く。大登壇会自体はウェブ会議システム「Zoom」を用いるが、1社当たりの持ち時間は約3分間。登壇直後のCOOがオフ会に集い、コロナ禍でのビジネス状況などの詳細を話す。視聴者が質問をすることも可能だ。

クラブハウスの強みは利用の気軽さ。ウィルゲートの吉岡諒COOは「オンラインセミナーをクラブハウスでも同時配信した際、クラブハウスに3倍以上の人が集まった。イベントに参加するつもりでなかったユーザーも気軽に参加できる」と集客力の高さを実感している。

イベント共催者であるCXOバンク(東京都港区)の中村一之社長は「エンゲージメント(ユーザーとのつながりの強さ)が高い」と評価する。音声を介したコミュニケーションにより、相手に会った気分になるのも特徴だ。コロナ禍で展示会などの対面イベントが中止になり、リード(見込み顧客)の獲得が困難になる中、同イベントを通じた新規ビジネスや雇用の創出に期待を寄せる。

話題性からクラブハウスの利用を始めた人も多く、ユーザー層もさまざま。吉岡COOは「採用活動や投資家向けの広報(IR)活動」にも活用できそうだと話す。実際に、GMOペパボやライトアップは決算説明会をクラブハウス上で実施し、話題を呼んだ。企業の認知力向上に向けたツールとして、クラブハウスを利用する企業も増えそうだ。

関連サービスも登場

SNSのマーケティング活用支援サービスを手がけるアーガイル(東京都新宿区)では、ルームやイベント情報を一覧できるウェブサービス「イベントルーム@クラブハウス」の提供を始めた。

クラブハウスにはフォローするユーザー以外のイベント情報を検索する機能が存在せず、自分に合ったイベントを見つけるのが難しい。同サービスには、ツイッター上に投稿されたイベント情報が即座に引用掲載されるため、フォロー外のユーザーのイベント情報が閲覧可能だ。

アーガイルのSNSデータ収集ツール「タグライブ」の仕組みを活用しており、構想からわずか半日でベータ版を発表した。クラブハウスを利用できない米グーグルの基本ソフト(OS)「アンドロイド」搭載端末利用者からも「話題や雰囲気が分かる」と反響を呼んでいる。

有名人の参加により、ルームの集客競争が激化する中、今後は「一般ユーザーの集客支援機能を導入する予定」(岡安淳司社長)だ。現在はイベント情報をリツイートしたユーザーに対し、イベント前にリマインドを送る機能を開発中。月内にも実装する予定だ。

日刊工業新聞2021年2月19日

COMMENT

狐塚真子
編集局第一産業部
記者

取材では「親戚や昔の友人も使用している」「ルームを立ち上げていたとき、VCの方から声がかかった」というエピソードも挙がるなど、ユーザー層の厚さを実感しました。吉岡COOや中村社長は「ビジネス用のSNSといえばFacebookが主流だったが、クラブハウスもその一つとして今後も残り続けるだろう」と予想しています。最近ではセキュリティーを危惧し、辞める人も増えています。安全性の確保や機能追加など、早急な対応が求められます。

キーワード

関連する記事はこちら

特集