研究データを経営戦略に生かす「北大BI」、他大学へ展開

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北海道大学公式インスタグラムより

北海道大学は研究などの数値データを可視化し、経営戦略に生かす手法「北海道大学ビジネスインテリジェンス」(北大BI)を他大学に展開し始めた。大学共通BIテンプレートを作成して名古屋大学、東京医科歯科大学、新潟大学、高知大学で活用を図っている。内閣府の「大学支援フォーラムPEAKS」で情報共有し、産学連携で企業が活用する仕組みの検討に入った。

大学改革では近年、情報を分析してエビデンス(証拠)に基づく改革を進める業務「インスティテューショナル・リサーチ」(IR)が注目されている。リサーチ・アドミニストレーター(URA)が、論文の被引用数や外部資金獲得金額を分析するケースが多い。

北大では2017年に総合IR室を設置。教員個人や部局の最新データを、間違いなく反映して可視化する北大BIを構築してきた。19年から執行部や部局長が活用している。例えば「博士課程の入学定員充足率」「トップ10%論文数比率」「外国人留学生受け入れ比率」などの指標を、重み付けして部局別に集計したグラフを作成し、裁量経費の配分決定に生かすことができるという。

他大学への展開では各大学の独自項目の設定もあり、PEAKSのIRワーキンググループ(WG)で情報共有する。産業界からの活用希望の声も出ている。北大の長谷山美紀副学長(WG主査)は「以前の表計算ソフトと異なり、BIなら(更新入力の)人手がかからずミスもない。各大学のビジョンとデータを戦略立案に生かしてほしい」としている。

北大のBI版ファクトブック画面。全学の論文競争力を分野別で見たり、国際共著論文の推移を把握したりできる(北大提供)

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日刊工業新聞2021年2月17日

COMMENT

山本佳世子
科学技術部
論説委員兼編集委員

「重要性は分かっていたが適切なツールがなかった」というのが、大学経営におけるデータ分析やIRの数年前の状況だ。「エクセル」程度しか、一般的でなかったためだ。これに対してデータ活用に湧く産業界で導入の進むBIが、強力な武器として大学や研究開発法人の世界にもやってきたのだ。内閣府のe-CSTIでマクロの日本全体の研究力をとらえ、北大BIテンプレートで各大学は学内の研究力をとらえる。元は研究者の個人データ(公的研究費を受けることで公表される)であり、両システムはつながってくる。テレワークやオンライン授業をはじめ、社会変革は予想以上のスピードで進む。研究力におけるBI活用も、その一つになるかもしれない。

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