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コロナ禍で詐欺電話や迷惑SMSの受信件数が7割増、「+ 674」など見慣れない番号は要注意

詐欺検出アプリ運営企業がレポート発表

台湾のGogolookが開発・提供する迷惑電話対策アプリ「Whoscall」は2020年、詐欺電話および詐欺SMS(詐欺メッセージ)2.8億件を含む、延べ 65億件以上の未登録番号からの電話着信とSMSを識別。9日にこの膨大なデータを元に作成した《世界の詐欺レポート 2020》を発表した。

昨年3月から新型コロナウイルスの世界的流行に便乗した詐欺グループの犯行が活発化。その結果2020年は世界の詐欺件数が過去最多となった。世界ではSMSを悪用してIDやパスワードなどの個人情報を盗み出すフィッシング詐欺の増加が顕著であるほか、デバイスがトロイの木馬ウイルスに感染させられたり、詐欺の拡散や中継機として悪用されたりするケースも起きている。

詐欺メッセージの内容としては、米国、日本、台湾などでは宅配便を装った不在通知詐欺が最も多く見られ、その他、銀行を装うことでクレジットカードの情報を盗み出す詐欺も急増しており、年末にはタイで深刻な集団的被害があった。

日本国内でも世界と同様に新型コロナウイルスに便乗した詐欺が横行した。警察庁によると2020年コロナウイルスに関連した特殊詐欺の認知件数は55件(うち未遂2件を含む)で、総額1億円にのぼる現金をだまし取られる被害が全国各地で起きた 。フィッシング被害も年々拡大しており、宅配会社やECサイト、クレジットカード会社をかたる SMS詐欺が多発した。

「+ 674(ナウル共和国)」から始まる見慣れない番号からの着信による詐欺や、実在しない国番号からの着信による詐欺など国際電話にまつわる事件 も多く起きている。Whoscallによると ゴールデンウイークや年末年始の大型連休前に詐欺が増える傾向があるという。2020年統計では、日本における詐欺電話や迷惑SMSの受信件数の増加率は前年比178%、このうち海外から発信されたものが 25%を占めた。

詐欺グループは通信規制が比較的緩い海外に拠点を置き 、インターネットを介して発信できるIP電話を利用し、電話番号を偽造しながら詐欺電話をかけるという手口を使っている。海外から発信される番号には、着信時に「+」で始まる国番号が表示されるので、このような着信が有ったときは特に注意が必要だ。

Whoscallでは3年前からSMS識別の技術開発を始めており、日本では昨年、世界に先駆けて「SMSアシスタント」(iОS版)をリリース。この機能により、電話着信だけでなくSMSまでフィルタリングが可能になった。

Whoscallは膨大なデータベース及びAI技術を用いて詐欺の電話番号を検出できる。SMSを利用した詐欺の場合、Whoscallがハイパーリンクスキャンテクノロジーを用いて、0.5秒でアンドロイド対応端末に不審なSMS、及び悪意のあるリンクを検出する。

コロナ詐欺の急増などを受け、Whoscallはスタートアップ企業への支援が豊富な福岡市に日本法人を設立した。今回発表したレポートを増加する詐欺防止に役立て、日本市場でのサービス拡大と消費者の安心・安全への貢献を目指す。

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